京都精華大学はポップカルチャー分野の教育課程に、かねてより力を入れている。国内で唯一のマンガ学部では新世代マンガコース、カートゥーコース、ストーリーマンガコース、キャラクターデザインコース、ギャグマンガコースと作品のスタイル別にコースを用意する。さらにマンガプロデュースコースでは編集者や原作者志望者に向けた教育も実施する。
しかし、京都精華大学の強みはマンガだけでない。マンガ学部ではアニメーションコース(アニメーション学科)も設置し独自のカリキュラムを用意している。とりわけ新しいジャンルの取り組みに積極的だ。
アニメーションコースの意欲的な教育のひとつが、2017年度から本格的に導入するデジタル作画である。これまで手描きのアニメーションは、アニメーターが紙と鉛筆でレイアウト、原画、動画を描いてきた。手で描かれた動画をスキャンしてデジタルに取り込み、それにデジタル彩色する。
デジタル作画はこの紙と鉛筆の部分をタブレットとタッチペンにすることで、最初からデジタル素材として原画・動画を描く。スキャンする必要がないだけでなく、紙を運ぶ必要がないことや、描き直しの作業が効率化するとの期待があり、デジタル作画の導入を積極的に進めるスタジオが増えている。
デジタル作画の導入は、とりわけ若い世代のアニメーターにデジタル作画が求められていることを教育の面で先取りした。一方で新しい分野だけに懸念されることもある。教育の指導を誰がするのか、カリキュラムは、どう組み立てるのかである。
京都精華大学では、国内でもいち早くデジタル作画に取り組んできたアニメーション制作会社スタジオコロリドの協力を得る。産学連携として、現場で活躍するアニメーターが学生を指導する。同大学が重視する実学にも直結する。
さらに液晶タブレットの世界的メーカーのワコム、デジタル作画ソフトCLIP STUDIO PAINTを開発・販売するセルシスとも協力する。プロが使う機材を十分に使いこなせる知識と技を身に着けるのに一役買う。国内のデジタル作画普及で、京都精華大学とこうした企業の連携が大きな役割を担うことになりそうだ。
またマンガ学部アニメーションコースでは、新年度よりキャラクターアニメーションもカリキュラムもスタートしている。こちらは平面的なデザインだけでなく、キャラクターを立体的に設計できることを目指す。
新たに教員に就任した田中達之氏が、指導に力を発揮する。田中氏はベテランアニメーターと活躍すするほか、演出や監督、さらにイラストレーションと幅広い才能を発揮する。国内を代表するアニメーションのクリエイターだ。
京都精華大学 マンガ学部 アニメーションコース
http://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/manga/animation/