日本アカデミー賞協会は、第40回日本アカデミー賞の各部門の優秀賞を、2017年1月16日に発表した。日本アカデミー賞は、前年に活躍した劇場映画、映画人を国内の映画関係者の投票にて決定し顕彰するものだ。1978年にスタート、今年で40回目となる。
優秀賞は米国アカデミー賞で言えば、ノミネートにあたる位置づけになる。3月3日に東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で開催される授賞式にて、5つの優秀賞の中から最優秀賞が発表される。
アニメーション関係者から注目されるのは、優秀アニメーション作品賞だろう。2016年は話題作の多い年となったが、『君の名は。』、映画『聲の形』、『この世界の片隅に』、『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ONE PIECE FILM GOLD』が選ばれた。いずれもヒット作で、大きな注目を集めたタイトルばかりだ。
OLMのフルCGが目を惹いた『ルドルフとイッパイアッテナ』以外は、全て手描きの2Dアニメなのは日本的と言えるだろう。映画のテーマは様々だ。『君の名は。』がファンタジックなラブロマンスの一方で、『聲の形』は聾唖といじめ、『この世界の片隅に』は第ニ次世界大戦前後の広島を描く。『ONE PIECE FILM GOLD』は国民的人気マンガが原作、『ルドルフとイッパイアッテナ』はファミリー・キッズ向けの作品だ。日本アニメの多様性も、5つの作品からは窺われる。
これまで劇場アニメはアニメーション賞以外の受賞は多くなかったが、2016年は他部門でも受賞が目立った。『君の名は。』はアニメーション賞以外に、新海誠監督が監督賞と脚本賞を受賞、音楽賞でもRADWIMPSの名前があがり、4部門に輝いた。『この世界の片隅に』にもコトリンゴが音楽賞を受賞して2部門の獲得である。
また「エヴァンゲリオン」シリーズでお馴染みの庵野秀明が総監督を務めた『シン・ゴジラ』は、作品賞をはじめ11部門12の受賞となった。こちらもアニメファンにはうれしいニュースだろう。3月3日に、いくつの最優秀賞を獲得するかが注目される。
優秀外国作品賞には、ディズニー・アニメーション・スタジオの『ズートピア』も5つの作品の受賞作のひとつになっている。こちらも大ヒット作だけに期待がかかる。
≪第40回日本アカデミー賞≫
http://www.japan-academy-prize.jp/prizes/40.html
[優秀アニメーション作品賞]
『君の名は。』
映画『聲の形』
『この世界の片隅に』
『ルドルフとイッパイアッテナ』
『ONE PIECE FILM GOLD』
■ 『君の名は。』 受賞部門
優秀アニメーション作品賞
監督賞/新海誠
脚本賞/新海誠
優秀音楽賞/RADWIMPS
■ 『この世界の片隅に』 受賞部門
優秀アニメーション作品賞
優秀音楽賞/コトリンゴ
■ 『シン・ゴジラ』 受賞部門
優秀作品賞
優秀監督賞/庵野秀明・樋口真嗣
優秀主演男優賞/長谷川博己
優秀助演女優賞/石原さとみ
優秀助演女優賞/市川実日子
優秀音楽賞/鷲巣詩郎
優秀撮影賞/山田康介
優秀照明賞/川邉隆之
優秀美術賞/林田裕至・佐久嶋依里
優秀録音賞/中村淳・山田陽
優秀編集賞/庵野英明・佐藤敦紀