2017年1月16日に発表された東宝の2017年第3四半期決算が好調だ。連結売上高は1781億2000万円と前年同期比1.8%増にとどまったが、営業利益が414億6800万円、経常利益が425億2800万円、当期純利益が281億6100万円と、それぞれ28.7%増、26.2%増、34.9%増となった。利益面での伸びが際立った。
これは製作出資した『君の名は。』や『シン・ゴジラ』、『名探偵コナン純黒の悪夢』の大ヒットが牽引したためだ。自社製作作品が、全体の利益率を大きく引き上げた。
東宝の映画事業は、製作・配給の営業事業、劇場運営の興行事業、映像パッケージ・アニメ・商品・ODSなどの映像事業の3つに分けられる。これらを合計して1198億1000万円(2.6%増)、営業利益は288億5700万円(36.6%増)の増収増益である。
このうち興行事業の売上が一番大きく606億3400万円(9.4%増)、営業事業は372億1400万円で7.9%の減少、映像事業が219億6100万円(4.9%増)となる。映像事業は東宝で大きなヒットがあったが、東宝東和の洋画作品が前年に及ばず減収になった。
一方で営業利益は、営業事業の131億1200万円(37.7%増)が最大で、さらに営業利益の伸び率は映像事業の50.0%増(59億8500万円)が一番となる。
演劇事業は軟調だった。売上は107億4500万円(6.1%減)、営業利益は21億7900万円(16.4%減)である。
不動産事業は、売上468億5200万円(1.7%増)、営業利益は129億3500万円(17.1%増)。不動産賃貸が高稼働を続けているほか、東宝スタジオのステージレンタルの稼働も順調だ。
東宝は利益の好調を受けて、通期決算を待つことなく、2017年2月期の配当予想を上方修正した。従来の前期12.5円、期末12.5円に加えて、期末に特別配当20円を実施。通期全体で45円にする。前年の30円から大きく増額される。