東宝が欧州統括会社を設立 英アニメ・リミテッド買収で欧州でも映画配給網

提携

 海外事業に積極的展開を続ける東宝が次に狙いをつける市場は、ヨーロッパのようだ。2025年12月19日、映画大手の東宝は2025年内に欧州統括会社を英国・ロンドンの設立する。新会社は東宝の海外事業統括会社TOHO Globalの子会社となる。 
 さらにこの欧州統括会社は、英国の日本アニメ配給の大手Anime Limited(アニメ・リミテッド)を子会社とする。東宝はアニメ・リミテッドの全株式をPLAION PICTURES GmbH(プレイオン・ピクチャーズ)から取得する。取得価額は非公表。アニメ・リミテッドの創業者でマネージング・ディレクターのアンドルー・パートリッジも、新しい欧州統括会社の経営に参画する。
 プレイオン・ピクチャーズは、ドイツの拠点を持つ独立のゲーム・映画会社。東宝はアニメ・リミテッドの株式取得に加えて、プレイオン・ピクチャーズと戦略的提携を締結する。

 東宝は2019年に米国子会社Toho Internationalを大幅増資して、北米統括会社とした。2024年にはアジア統括会社となるToho Entertainment Asiaがシンガポールで事業を開始した。
 欧州統括会社はこれに続くもので、「北米」「アジア」「ヨーロッパ」の主要3市場でビジネス拠点を構築する。

 アニメ・リミテッドは2012年にフランスのアニメ・マンガ会社KAZE出身のアンドルー・パートリッジがイギリスで設立した。日本のアニメに特化して、主にイギリスとフランスを市場とし、劇場配給を得意とする。作品選択の確かさもあり近年急成長していた。日本では英国北部の複数都市で開催される映画祭「スコットランド・ラブス・アニメ(Scotland Loves Anime)」の主催者としてアニメ関係者に知られている。2022年より、プレイオン傘下になっていた。
 アニメ・リミテッドのグループ会社化とプレイオン・ピクチャーズとの提携で、東宝はヨーロッパにおけるアニメ・映画ビジネスをイギリス、フランス、ドイツ、イタリアの主要都市に広げる。すでに北米に持つ劇場配給網に西ヨーロツパが加わり、グローバルの映画配給が強化される。

 『ゴジラ‐1.0』や『僕のヒーローアカデミア』『ダンダダン』で海外ビジネスに成功する東宝は、4つの長期経営戦略の成長目標になかに「海外」と「アニメ」をおいている。今回の欧州統括会社は、この2つと重なる。
 東宝はこれまでにも2024年に北米のアニメーション配給のGKIDSを子会社化、2023年にはタイの大手アニメーションスタジオであるイグルー(IGLOO STUDIO)に出資している。M&Aを利用して短期間に急速に海外事業を拡張している。同じくアニメなどの日本のエンタテイメントビジネスで海外展開を目指すソニーグループやKADOKAWAなど共に、東宝の海外進出は今後も目を離せない存在だ。

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