電子書籍配信サービスのイーブックイニシアティブジャパンは、9月6日に2017年1月期第2四半期(2016年2月~7月)の決算を発表した。期中、5月1日にオンライン書店運営のブークスを吸収合併したことから、連結売上高は49億8200万円と前年同期比で69.2%と大きく増加した。
しかし、営業損失が1億1200万円、経常損失は1億1000万円、四半期純損失は7300万円と、前年同期に引き続き赤字となった。電子書籍事業の伸び悩みが響いた。
電子書籍事業のうち電子書籍配信の売上高は25億3700万円、電子書籍提供は1億3700万円だった。
またクロスメディア事業が23億700万円と大きく伸びた。紙書籍のネット販売やタイアッププロモーション、中国向けの事業、モバイル知育コンテンツの配信が含まれる。ブークスの吸収合併による効果が大きかった。
電子書籍市場は2016年度で1940億円が予測されるボリュームのある市場に育っている。さらに2020年には3000億円規模が期待されると成長性が高い。その一方で、IT企業や出版社、印刷、通信と様々な分野からの事業進出があり、競争が厳しい。イーブックの収益もそうした競争状況が反映している。
競争が激化するなかで、同社の差別化、強みになりそうなのが品揃えである。とりわけマンガ分野が充実している。2016年7月末の段階で17万4000冊(男性マンガ8万2310冊、女性マンガ9万2170冊)を超えるマンガのラインナップを誇る。このボリュームは、数ある電子書籍サイトのなかでも最大規模となる。電子書籍の利用に占めるマンガの割合は依然高く、ユーザーへのアピールポイントになる。
また、ヤフーからのTOBにより、同社の連結子会社になったことも大きいだろう。ヤフーの持株比率は44.6%、今後もイーブックは上場を続けるが、日本最大のポータルサイトとの業務提携は、シナジー効果は勿論だが、認知度拡大にも大きな力を発揮するだろう。
イーブックは通期の連結売上高の予想、前年比32.2%増の95億円とする。また営業利益、経常利益、当期純利益はゼロとして、赤字計上は避ける見通しだ。