「アングリーバード」 長編アニメ第3弾製作発表、セガのロビオ買収後初

アングリーバード

 世界的に人気なアプリゲーム『アングリーバード』の新たな劇場長編アニメーション製作が、2024年6月7日に発表された。
 アプリゲームを運営するロビオ・エンタテインメントとインドの世界最大手VFXスタジオのプライム・フォーカス・スタジオ、英国のDNEG アニメーションがアニメーション制作をする。香港のOne Cool Group、それにFlywheel Media、電通がプロデュースを手掛ける。

 アングリーバードの劇場映画は2016年に『アングリーバード』 、2019年に『アングリーバード2』が世界公開された。第1作は北米興行収入1億700万ドル、世界興収が3億5200万ドルのヒットとなった。しかし第2弾の『アングリーバード2』は北米興収4100万ドル、世界興収1億4700万ドルとやや冴えない実績だった。前作から5年が経つ中での新たな製作発表は、サプライズである。
 これはアプリゲーム運営のロビオの近年の経営環境の変化が理由とみられる。2023年に日本の大手ゲーム会社セガサミーホールディングスが同社を総額7億ユーロで買収したからだ。買収後の素早い動きは、ロビオ最大のヒット作をゲームだけでなくキャラクターとしてビジネス展開したい考えがあるとみられる。その認知度向上のための長編映画というわけだ。

 監督は第1作のジョン・ライス、脚本は『アングリーバード2』のサーオップ・バン・オーマン、主演声優もシリーズを引き継ぐなど、これまでの主要スタッフが多く参加する。そして長編アニメーション映画第3作とするが、実際の製作の枠組みは大きく変わる。
 1作目、2作目はロビオとソニー・ピクチャーズの共同製作であったが、今回の発表ではソニー・ソニー・ピクチャーズの言及はない。日本、香港、インドの大手企業が中心的な役割を果たしている。
 アニメーション制作もソニー・ピクチャーズ・イメージワークスからDNEG アニメーションに変更された。前作でソニー・ピクチャーズが担当した配給は、北米、日本を含めて現段階で発表はない。今後の世界配給がどういったかたちになるかが注目される。

 セガサミーの映像進出は、グループ会社で日本のアニメ会社トムスエンタテインメントが中心である。一方で、最近はCGアニメーションでも世界進出も果たしている。自社の人気ゲームキャラクターを大作映画とした『ソニック・ザ・ムービー』を米国大手映画会社パラマウントと共同製作して大ヒット、続編も製作された。さらに第3弾も予定されている。こうした経験をさらに広げていくうえで、世界的に認知度の高い『アングリーバード』に白羽の矢が立った。
 セガは今後も自社作品をゲームだけではなく様々なメディアや商品に展開するとしている。今後もグループの世界を見据えたビジネスは拡大しそうだ。

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