新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月15日から20日までの6日間、新潟市内各所の会場で開催された。本映画祭は2023年3月にスタート、今年で第2回となった。昨年は長編作品を中心にこれまでの国際アニメーション映画祭とは一線を画したプログラムで話題となったが、24年もこうした方針を引き継いだ。
映画祭の軸となる長編コンペティション部門には世界29ヵ国・地域から49本のエントリーがあり、11ヵ国から12作品がセレクションされている。さらに巨匠・高畑勲の全長編アニメーションを並べたレトロスペクティブ、世界の潮流、フォーラムと60本以上もの作品が上映された。
来場者数も伸びたようだ。クロージングセレモニー/授賞式でフェスティバルディレクターの井上伸一郎氏は、「観客は前年より大きく伸びた」と語っていた。
そのクロージングセレモニー/授賞式で大きな注目を集めたのが、この場で発表されたコンペティション部門のアワードである。今年はグランプリにカナダのジョエル・ヴォードロイユ監督の『アダムが変わるとき』が輝いた。
不格好なみための主人公のアダムは、人からの言葉で身体のかたちを変えるという奇妙な特質を持っていたから始まる文字どおり奇妙な物語だ。審査員長のノラ・トゥーミー氏は、「いくつかの一見小さな出来事から、魔法のようなドラマを生み出しました。ユーモアと優しい心のバランスを取りながら、彼の持つアニメーションというメディアに対する知識と技術力を駆使して、観客が登場人物とつながることを可能にしています」と評した。
そして傾奇賞には岡田麿里監督の『アリスとテレスのまぼろし工場』、境界賞はフランスのジェレミー・ペラン監督の『マーズ・エクスプレス』がそれぞれ選ばれた。いずれも昨年の押井守監督ら3人の審査員チームが考案したアワードタイトルを引き継いだものである。
『アリスとテレスのまぼろし工場』には「非常に美しいアニメーション、そして負った傷を乗り越えてさらに大きく成長することとは何か?を詩情豊かに表現することにより、「大人への成長譚」というジャンルを新たな高みへと昇華させた作品」と、『マーズ・エクスプレス』は「芸術的能力の頂点を極め、美しく洗練された作品」との言葉が贈られた。
最後に奨励賞として米国の『インベンター』が選ばれた。レオナルド・ダ・ヴィンチの後半生をストップモーションと手描きでコミカルに描いた作品だ。
またノラ・トゥーミー氏は、新潟国際アニメーション映画祭を「開催から2年目ですが、すでに映画制作者と世界中の観客に新潟の映画祭は「創造性と文化の繋がりをもたらす存在としてしっかり確立しています」と讃えた。
新潟国際アニメーション映画祭
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