集英社の「週刊少年ジャンプ」編集部が、同業他誌で連載経験のあるマンガ家に向けた説明会、相談会を開催する。「週刊少年ジャンプ」での作品掲載、連載に興味がある現役作家を対象にする。
2023年11月23日と12月2日に、まず東京・千代田区の集英社でリアルイベントを実施。12月3日にはZoomを使ったリモート形式でも行う。首都圏以外に在住のマンガ家が参加しやすい配慮がされている。
マンガ家は出版社主催のマンガ賞への応募や編集部への作品持ち込みでデビューすることが少なくない。そこから出版社・編集部との強いつながりが生まれて、デビューした雑誌のある出版社を中心に長期にわたり仕事をするマンガ家が多い。
一方で活動の場とする雑誌や出版社を移るマンガ家も少なくない。作家の作風と出版社や編集部のニーズが、必ずしもデビューした場所と一致するとは限らないからだ。しかし、そうした移動は個別のやりとりによるところが大きい。
今回の募集は他誌での連載経験者に絞っている点で、中途採用/経験者採用と言える。一般的な仕事ではよくある募集だ。マンガ家でこれまでこうしたものがなかったのは、デビュー後の作家を広く募集することが引き抜き行為と見られかねないとの懸念だろう。
そうした点で、今回の「週刊少年ジャンプ」編集部の連載経験者募集は画期的だ。ただ画期的なのは、募集そのものだけでない。
募集にあたって「週刊少年ジャンプ」編集部は、原稿料を開示している。初連載・初読切掲載の場合は、モノクロが1ページ1万8700円(税込)以上、カラーは2万8050円(税込)以上となる。さらに連載開始時には1年間の専属契約を結ぶ選択が可能で、その場合は専属契約金を払うとしている。
スタンダードな契約条件の提示は求人の一般的なフォーマットだが、マンガ家の仕事ではこれまで表に出てくることはほぼなかった。今回の作家説明会/相談会には、新しいことにチャレンジしようとする「週刊少年ジャンプ」編集部の強い意志が感じられる。
編集部によれば、「週刊少年ジャンプ」は新人作家による新作マンガに支えられてきた。そうした作家は集英社の新人マンガ賞や新人作家向けの持ち込み企画をきっかけにそのキャリアをスタートている。
一方で「週刊少年ジャンプ」 には、それらとは異なる作家の存在もある。他社で連載をした後に、あらためて「週刊少年ジャンプ」で連載を始めた作家だ。最近では『アオのハコ』の三浦糀、『Dr.STONE』の作画担当Boichi、『約束のネバーランド』作画担当 出水ぽすかといった作家陣だ。編集部での育成に加えて、外からのあらた才能が入ることで、作品の幅を広げる狙いもありそうだ。
今回の応募は、WEB媒体を含む商業誌で連載されたことがあることが条件。また面談にあたっては、「週刊少年ジャンプ」に向けた新作の読切り作品・連載作品のプロットと自身の過去のコミックス1冊を準備する必要がある。
応募は今回のために設けられた特設サイトから申し込む。予約受付は先着順、定員になり次第締め切る。
「週刊少年ジャンプ」主催/他誌連載経験プロ作家向け説明・相談会
http://jump-keikensya-soudankai.com/