2016年7月22日に中国公開した日本アニメ『ドラえもん のび太の日本誕生』の現地での興収が1億元を突破した。8月12日までの累積興収は1億353万元で、日本円では約15億7000万円となる。
『ドラえもん』の劇場映画は、2015年5月にもフル3DCGの『STAND BY ME ドラえもん』が中国公開され、興収が5億3028元にまで達する大ヒットとなった。これに比べると1/5程度の数字ではあるが、日本国内の41.2億円の約4割規模となれば十分な成果だ。中国での『ドラえもん』の高い人気も示している。
日本映画の公開が難しいとされている中国だが、2016年には『のび太の日本誕生』以外にすでに3本が公開されている。『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』と『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』の2本のアニメ、それに実写映画『ビリギャル』だ。さらに先頃『寄生獣』の中国全国公開も発表された。
このうち『BORUTO』の興収は1億323万元と、『のび太の日本誕生』に匹敵する規模。こちらは日本での興収の6割規模だ。中国での「ナルト」シリーズの人気の高さを反映している。『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』の興収も3787万元と悪くない数字である。
米国での一部の例外を除いて、日本の劇場アニメの興収が10億円を超える規模で期待出来る国は、現在は中国だけだろう。中国市場の大きさ、日本アニメの認知度の高さを感じさせるだけに、今後も、数少ない上映枠を目指す日本アニメは増えそうだ。
しかし、こうした日本アニメの好結果も米国の3DCGアニメーションの前では色褪せる。同じ時期に、中国で公開された米国アニメーションは、米中共同製作の『カンフーパンダ3』を含めて、8本にもなる。そして何より驚くのはその興収だ。2016年の現在までのトップの『ズートピア』の興収は15億3000万元で日本円で200億円を軽く超える。2位の『カンフーパンダ 3』が10億元、3位の『アングリーバード』で5億1000万元。さらに『ペット』の3億元、『ファインディング・ドリー』の2億5000万元が続く。
ハリウッドの長編アニメーションの強さに圧倒されるが、公開本数が絞られていることでライバル作品が少なく、上映作品の興収を押し上げている側面もありそうだ。
米国や日本と同様『ズートピア』が大ヒットになる一方で、日米で人気の『ファインディング・ドリー』のヒットは控えめだ。中国で人気の『カンフーパンダ3』は日本では公開が見送られており、マーケットの違いも垣間見える。
中国国産のアニメーション映画も勢いがある。近年、そのクオリティで日本でも話題を集めつつある中国アニメーションだが、2016年は『大鱼海棠』が注目になりそうだ。国産上映作品は『カンフーパンダ3』を入れて9本だが、2Dと3Dをハイブリットさせたファンタジーの本作が、興収5億6000万元でトップになった。(『カンフーパンダ3』は除外)
興収では『熊出没之熊心归来』が2億9000万元で2位。熊の家族をたちを中心に動物たちが活躍する子どもに人気の作品である。3位以降は、興収は1億元を割っている。
このほか中国では、台湾の『青蛙总动员』、イギリスの『きかんしゃトーマス』、ドイツ/ベルギー/ルクセンブルクの共同製作『Ooops! Noah is Gone…』、ヨーロッパ共同製作の『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』が公開されている。国別に公開本数を割り当てることで、意外な作品が上映されているのも中国ならではかもしれない
(数字はいずれもEntGroupの発表から)