円谷プロ急伸も貢献、フィールズの第3Q業績が急回復

ファイナンス決算

 エンタメ・遊技機関連のフィールズの22年3月期業績が急回復している。2022年2月9日に第3四半期決算を発表したが、連結売上高で前年同期の約2.5倍725億3100万円となったほか赤字に沈んでいた各利益も黒字に転換した。営業利益が23億6600万円、経常利益が25億9000万円、当期純利益は17億8700万円となった。

 売上高では遊技機関連のフィールズが642億9000万円(177.3%増)と全体の9割近くを占めるが、利益面では映像・ライセンス事業の円谷プロダクションの貢献が大きくなっている。
 円谷プロダクションの第3四半期までの売上高は38億4000万円(49.1%増)、営業利益は10億7000万円(220.4%増)、経常利益は10億8000万円(213.8%増)、四半期純利益は9億1000万円(408.1%増)。業績の高い伸びが明らかだ。営業利益ではフィールズの10億円を上回り、業績の柱となる。

 円谷プロダクションは「ウルトラマン」シリーズなど、近年は自社保有作品の再活性化に積極的になっている。新作テレビシリーズや劇場映画、配信向けアニメシリーズなどの映像展開も増えている。とりわけライセンス事業が活発で、国内だけでなく、中国を含むアジアを中心にマーチャンダイジング事業が堅調で収益に貢献している。これらが売上と利益率を押し上げる。
 来期以降もNetflixなどでリリースする「ULTRAMAN」シーズン2が2022年4月14日に配信開始、5月13日には劇場映画『シン・ウルトラマン』の公開も予定されている。大きな話題と共に業績の拡大につながりそうだ。

 フィールズの現在の事業構成は、遊技機のディズトリビューションを担うPS事業とエンタテイメント領域のIP事業のふたつに分けられる。このうちIP事業は円谷プロダクションに加えて、CG・VFX映像制作のデジタル・フロンティアが2本柱だ。
 デジタル・フロンティアも今期の業績は堅調だ。期間中はゲーム会社向けの映像制作のほか、NetflixとのVFX映像制作も行っている。今後は高精細な3DCGアバターによる遠隔接客サービスの開発なども目指し、メタバースなどのデジタル仮想空間ビジネスへの技術活用も検討するとしている。

 フィールズ単体の業績回復は、パチンコ、パチスロの販売台数回復が大きい。期間中は特にパチンコ『新世紀エヴァンゲリオン ~未来への咆哮~』がヒット商品になった。同商品は第4四半期以降も追加受注があり、さらにパチスロ『新世紀エヴァンゲリオン ~魂の共鳴~』の販売も開始している。第4四半期も安定した業績になりそうだ。

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