フィールズが大幅増収で黒字転換、「ウルトラマン」などコンテンツ&デジタルの成長注力

ファイナンス決算

 遊技機企画・開発・販売のフィールズが2022年5月12日に、2022年3月期連結決算を発表した。新型コロナ感染症が一段落し、事業領域の大胆な再編もあり、業績は急回復を見せている。
 連結売上高は949億円と前年の約2.4倍になったほか、マイナスだった各利益も黒字に浮上した。営業利益は34億4400万円、経常利益は36億3400万円、当期純利益は24億7100万円になった。

 22年3月期の特徴は会社全体を遊技機関連のPS事業とコンテンツ及びデジタル事業に全体を大きくふたつに分けたことである。利益面では、両事業が接近している。
 PSの営業利益が17億5000万円に対してコンテンツ及びデジタルが14億6000万円、経常利益はそれぞれ18億8000万円と14億6000万円、当期純利益は17億円と10億6000万円だ。
 コンテンツ・デジタルでは、特に円谷プロダクションの存在感が大きく同社だけで、営業利益12億7000万円、当期純利益9億2000万円と収益の柱になっている。同社の収入の中心はマーチャンダイジング(商品化(MD))とライセンスで、国内は13億8600万円で94.2%増、海外は20億8700万円で117.5%増、さらに海外のうち中国が15億4700万円(195.3%増)と急成長していることが分かる。

 コンテンツ・デジタルの急成長は、フィールズの事業方針を反映している。すでに同社は22年10月1日に社名を円谷フィールズホールディングスに変更することを発表している。コンテンツ&デジタル事業の円谷プロダクションと遊技機のフィールズを等分とする考え方だ。フィールズの収益性を確保しつつ、成長力の高いコンテンツ・デジタルに積極的投資する。

 コンテンツ・デジタルでは、映像制作のデジタル・フロンティアと円谷プロダクションの2社が中核企業だ。両社のIP、技術、ノウハウ、顧客などを融合することで、デジタル領域事業の拡大も目指す。
 さらに事業の鍵となっているのが作品の権利運用で、ここでは円谷の持つ「ウルトラマン」ブランドの果たす役割が大きい。国内ではメディアでの露出拡大、タイアップ強化、小売販売の強化の成果が現れ、売上が伸びている。
 海外でも中国で作品露出の拡大が、売上げにつながっている。中国以外のアジアでもSNSの活用で人気が広がっているとする。北米では2020年の権利確認の訴訟で勝訴が確定したことから、本格的な基盤づくりと市場開拓を狙う。

 そうした戦略を支える映像作品も豊富で、今後も計画が目白押しだ。目先はヤングアダルト向けの実写映画『シン・ウルトラマン』が5月13日に全国公開される。その後も、2年から3年ごとに劇場映画を投入予定だ。NetflixのCGアニメシリーズも2022年の第2シーズンに続き、2023年の第3シーズンが発表されている。キッズファミリー向けには「ニュージェネレーション」と呼ぶ、新世代のウルトラマンを投入する。
 注目されるのは海外で、現在ルーカスフィルム傘下のILM制作でNetflixのアニメーションシリーズを開発中だ。さらにハリウッドスタジオ級の製作陣を想定して企画も進めている。こうした作品と連動することで北米を中心とした世界市場の開拓を進めることになりそうだ。

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