国内最大手の映画会社である東宝の業績が好調だ。2016年9月27日に、2017年2月期第2四半期(16年3月~8月)までの連結業績予想を上方修正した。配給と興行が牽引し、利益が期初見込みの数字を大きく上回る。
営業収入は1112億1000万円から1149億円に変更された。また営業利益は167億7000万円から244億円へ、経常利益は173億6000万円から250億円に、当期純利益は114億5000万円から165億円にそれぞれ44%から45.5%の引き上げである。これは過去最高であった2016年2月期の純利益の水準を上回り、引き続き事業の成長が続いていることがわかる。
業績修正の理由として東宝は、まず映画事業の好調を挙げ、定番アニメ映画の「映画 ドラえもん」シリーズ、「名探偵コナン」シリーズが好調だったとする。アニメ映画の好調が全体の後押しをした。さらに夏公開の『シン・ゴジラ』、『君の名。』のメガヒットの影響が大きい。
興行ではTOHOシネマズ 新宿が高稼働しており、TOHOシネマズ仙台、TOHOシネマズ柏が寄与した。さらに演劇事業では新作ミュージカルの『1789 バスティーユの恋人たち』『王家の紋章』がヒットとなった。不動産事業も堅調に推移した。
一方で東宝は、通期連結決算については、現在、精査中として業績見通しを修正しなかった。上期の修正理由のひとつに挙げられた『君の名。』は8月26日公開で、その興行収入の大半は第3四半期以降に含まれる。日本映画史の残る記録的なヒットが見込まれることから、通期決算も上振れする可能も高い。
東宝の事業利益は不動産からシェアも高いが、事業のぶれが少ない。予想を上回る利益は、映画・演劇事業の業績に依存する部分が大きい。