デイタイム・エミー賞アニメーション3部門 ポリゴン・ピクチュアズ「Lost in Oz: Extended Adventure」が受賞
■ ポリゴン・ピクチュアズ、ファンタジー作品でも実力発揮
2017年4月28日、米国カリフォルニア州パサデナにて、第44回デイタイム・エミー賞の授賞式が開催された。この場で過去1年間の最も優れた放送番組とそのスタッフ・出演者を讃える各賞が発表された。
このうち子ども向けアニメーション番組部門(Outstanding Children’s Animated Program)のアワードを、日本のCGスタジオのポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作する『Lost in Oz: Extended Adventure』が獲得した。本作は5部門にノミネートされたが、アニメーション番組音響部門(Outstanding Sound Mixing–Animation)、アニメーション番組音響編集部門(Outstanding Sound Editing–Animation)も受賞し、3冠と大きな成果を残した。
エミー賞は、米国テレビ芸術科学アカデミーが主催する放送番組のアワードとして有名だ。映画におけるアカデミー賞にあたる。「プライムタイム」、「デイタイム」、「スポーツ」、「ニュース&ドキュメンタリー」、「技術」、「リージョナル」、「国際」など複数のアワードから構成されている。
デイタイム・エミー賞は、このうち昼間帯に放送される番組を対象にしている。かつてはテレビ放送番組が中心だったが、現在は配信番組も対象にし、キッズ・ファミリーに向けたアニメーションは「デイタイム」がカバーする。
『Lost in Oz: Extended Adventure』も、そうした配信番組のひとつだ。映像配信プラットフォームのAmazon プライム・ビデオと製作会社Bureau of Magicがオリジナルのアニメーションシリーズとして企画した。世界的に知られたファンタジー小説『オズの魔法使い』を翻案している。ポリゴン・ピクチュアズは、本作のアニメーション制作を担当。同社の塩田周三氏、ジャック・ライアン氏も、エグゼクティブ・プロデューサーとして作品に加わっている。
ポリゴン・ピクチュアズは、これまでに『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』、『トランスフォーマー プライム』でもデイタイム・エミー賞を受賞している。ファンタジー作品でも、グローバルで評価される実力を示した。
■ アワードはNetflixとAmazonが席巻 ドリームワークス・アニメーションが7冠
40年を超える歴史を持つデイタイム・エミー賞だが、今年の受賞作・受賞者のリストは、時代の変化を感じさせるものになった。ネッットワーク別の受賞数で、Amazonが13部門、Netflixが11部門を獲得した。これは地上波ネットワークのCBC、PBS(ともに9部門)、NBC(8部門)やケーブルテレビ局HBO(5部門)を大きく引き離す。いまや映像配信プラットフォームは、番組づくりで従来のテレビ局を凌駕する。
もともとデイタイム・エミー賞は、テレビ放送の時間帯を基準に選考対象作品を規定している。しかし、視聴時間に制約がない配信番組の躍進で、受賞者とアワードのタイトルにずれが生じている。これも配信プラットフォームのもたらした変化の大きさを物語る。
一方、AmazonとNetflixの躍進は、アニメーション番組の充実も大きな理由になっている。Amazonは『Lost in Oz: Extended Adventure』の他、『The Snowy Day』、『Tumble Leaf』といったアニメーション作品が受賞している。
Netflixはさらに顕著だ。11部門のうち7部門をドリームワークス・アニメーション製作の『Trollhunters』(6部門)と『Dinotrux』(1部門)が占めた。さらに『Beat Bugs』もあり、アニメーションが受賞の大半を占める。
ドリームワークス・アニメーションは独自の放送局を持たないことから、早い段階からNetflixと強力な関係を結び、オリジナル作品を製作してきた。そうした戦略が成果に現れている。ここでもアニメーションスタジオとメディアの新たな関係が見える。
デイタイム・エミー賞
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