東映アニメ第1Q増収 TVアニメ制作増、海外ゲーム化権が強い

ファイナンス決算

 2021年7月28日に発表された東映アニメーションの22年3月期第1四半期決算は、同社の堅調な業績を確かめるものとなった。第1四半期の連結売上高は131億8700万円と前年比で4.0%増、営業利益は42億4500万円(6.5%増)、経常利益は42億2700万円(1.6%増)と高水準を維持している。ただし当期純利益は30億4800万円(4.5%減)とやや減少した。
 テレビアニメ・劇場アニメの制作・販売にあたる映像製作・販売事業が減収減益。商品事業も苦戦したが、版権事業の高い伸びが全体をカバーした。
 映像製作・販売事業は、テレビアニメの伸びが大きかった。期間中に『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』『トロピカル~ジュ!プリキュア』『ワンピース』『デジモンアドベンチャー:』『おしりたんてい』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』と6本の安定したシリーズを制作している。売上高は8億7100万円で前年同期の2.4倍になった。
 劇場アニメは前年あった『美少女戦士セーラームーンEternal』などがなく、大型作品に欠けたことから大幅な減収だ。こちらは前年の2億7400万円から2400万円に急減した。
 海外向けの制作・番組販売は、前年同期にあったサウジアラビア向けの『ジャーニー』、さらに『ドラゴンボール超 ブロリー』の反動から大幅減少で、21億5900万円だった。
 映像製作・販売事業全体では、売上高43億1400万円(16.0%減)、営業利益が9億4800万円(37.2%減)だ。新たな動きとして、国内の映像配信権販売が好調としているのが注目される。また中国を除くアジア地域でも映像配信権販売が伸びていると報告されており、配信権ビジネスは今後新たな展開もありそうだ。

 版権事業は海外を中心に大きく伸びた。売上高は84億9100万円(21.3%増)、営業利益は42億6400万円(25.8%増)である。国内版権が6.8%減32億2200万円だったの対して、海外版権が48.7%増の52億6900万円と急伸した。
 海外は『ドラゴンボール』のゲーム化権販売、『スラムダンク』のアプリゲームとゲーム関連が好調だった。さらに『ドラゴンボール』『ワンピース』『デジモンアドベンチャー』の商品化権販売が大きく伸びた。 

 通期連結業績予想は、期初と変わらず売上高510億円、営業利益110億円、経常利益113億円、当期純利益76億円。第1四半期の進捗率は売上高で25%、利益では4割近くで、十分達成可能とみられる。
 通期でも劇場アニメに大型作品がなく、テレビシリーズ主導になりそうだ。劇場アニメは来年以降に『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』、『SLAM DUNK』と大型作品が控えている。
 また第1四半期の海外売上比率は58%となっている。海外マーケットの重要性も続きそうだ。

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