2021年6月11日に中国公開した日本の劇場アニメ『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』が、興行1ヵ月を目前にして順調に成績を積み重ねている。7月4日までに現地の興行収入は1億1900万元に達した。現在の為替レート「1元=1.71円」で計算すると、累計興行収入は20億円を超える。
日本での興行収入は約6億円だったため、中国での興行は日本の3倍以上というサプライズなヒットになった。日本のオリジナルアニメ映画の今後の海外展開にもポジティブな結果である。
『HELLO WORLD』は、『ソードアート・オンライン』や『僕だけがいない街』の伊藤智彦が監督、小説家・野崎まどが脚本、堀口悠紀子がキャラクターデザインを務めた話題作。全てがデジタルで作られた京都というアイディアのSFストーリー、CGスタジオのグラフィニカのアニメーション制作も注目を浴びた。
日本では19年9月公開、中国でのお披露目は1年9ヵ月とかなり遅くなったが、手堅い人気を得て、興行を積み重ねている。近年は中国で日本アニメがヒットすることは珍しくないが、上位作品は『ドラえもん』や『名探偵コナン』、『ONE PIECE』、それにスタジオジブリなど、親子で見られるファミリー作品が中心となっている。ティーンより上の世代を狙った作品では、『君の名は。』、『天気の子』以来のヒットになる。
ヒットの理由のひとつは息の長い人気にある。通常日本の大人向けアニメは公開最初の週末で一挙に動員し、2週目以降は急速に収束していくパターンが多い。『HELLO WORLD』は初週末ランキング4位であったが、2週目6位、3週目8位、第4週目もトップ10にランキングされている。口コミも含めて、話題が持続していることを窺わせる。
2021年はやはり5月28日に中国公開された『STAND BY ME ドラえもん 2』の興行収入が現時点で約2億7200万元(約46億円)。こちらも日本27.5億円を大きく超えた。日本のヒットの傾向と必ずしも一致しない中国ならの動向は、今後の中国ビジネスを考えるうえでも貴重なものとなる。