Netflixの事業が好調だ。同社の2020年第2四半期の決算発表によれば、上半期(1月~6月)の売上高は119億1500万ドル(約1兆2800億円)、前年同期比で26%増となった。営業利益は23億1600万ドル(約2500億円)で98%増、純利益は14億2900万ドル(約1540億円)(132%増)と利益面での伸びが大きい。
業績の好調を支えたのは、新規契約者数の増加である。有料契約者は2020年7月現在で1億9,300万人、前年比で2600万人増となる。とりわけ第2四半期(4月~6月)は四半期としては過去最高の1010万人の加入があった。
契約者数の増加は、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な外出自粛が後押しになったようだ。期間中はライブやコンサート、映画興行などの縮小が続き、エンタテイメントを求めるユーザーのニーズが配信プラットフォームに向かった。新規契約者数は、今年4月から急伸し、5月、6月、7月も高水準となっている。
ただし新型コロナウイルス感染拡大は、Netflixにもネガティブな影響を与えている。制作の中断に加えて、オリジナル作品を支える映像制作者の収入が減少し基盤が揺らいでいることもひとつだ。Netflixは、映像制作のコミュニティを支えるとして約160億円(1億5000万ドル)の救済基金を実施している。日本でも約1億円を支援基金として映像産業振興機構 (VIPO)に拠出した。
一方で映画・番組制作は、徐々に再開し始めた。ドイツ、フランス、スペイン、ポーランド、イタリア、イギリスなどのヨーロッパ各国、日本でもヒットシリーズ『全裸監督』シーズン2が撮影中だ。ただし米国では一部再開はしたが、依然不透明な状況だとしている。
第2四半期に視聴の多かった作品は映画では『タイラー・レイク -命の奪還-』の9900万世帯、『ザ・ファイブ・ブラッズ』2700万世帯。シリーズ作品では『私の”初めて”日記』4000万世帯、『ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~』5100万世帯。アニメーション映画でも『ウィロビー家の子どもたち』が3800万世帯で視聴された。
Netflixの契約者数はかなり大きくなったが、それでも依然北米(7290万世帯)、ヨーロッパ・中東・アフリカ(6140万世帯)が中心だ。日本を含むアジア・太平洋は2240万世帯にとどまっている。逆に言えば今後の成長余地が大きいのもアジアだ。2020年は上半期のみで620万世帯増と契約者数の伸びを支えた。
日本での契約者拡大の鍵のひとつとなるのが、日本発のオリジナル作品だろう。この7月にはアニメでは『日本沈没2020』、ホラーでは『呪怨:呪いの家』が配信を開始している。
アニメは引き続き注目ジャンルになりそうだ。今後下半期には『アグレッシブ烈子』シーズン3、『トランスフォーマー: ウォー・フォー・サイバトロン・トリロジー』、『ドラゴンズドグマ』が配信される予定だ。