2017年2月14日に発表された東映の17年3月期第3四半期決算は、前年同期に引き続き好調を維持している。売上高は949億200万円(1.9%増)、営業利益は133億4100万円(2.9%増)、経常利益は157億8900万円(3.7%増)、当期純利益は80億6500万円(9.1%増)。増収増益となった。
売上高、利益とも伸び率は一桁にとどまったが、大幅な伸びだった前年同期をさらに上回ってきたことで業績の好調ぶりを印象づける。第4四半期はすでに『相棒-劇場版Ⅳ-』、『キセキ -あの日のソビト-』のヒット作が出ている。前年比減収減益とする通期の連結業績予想も、見通しを上回ってくる可能性も高そうだ。
第3四半期までの好調を支えたのは、同社が得意とするアニメ・特撮映画である。7月に公開した『ONE PIECE FILM GOLD』が興行収入51億8000万円の大ヒットになったほか、4月公開の『遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』も10億円を超えるヒットとなった。このほか『劇場版仮面ライダーゴースト/劇場版動物戦隊ジュウオウジャー』、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』、『映画魔法つかいプリキュア!』といった定番シリーズが着実に推移した。実写一般では『疾風ロンド』、『日本で一番悪い奴ら』が堅調だったとしている。
アニメはコンテンツ事業でも成果を残している。「ドラゴンボール」シリーズと『ワンピース』のゲーム化権・商品化権が好調であった。
映画事業全体では売上高は608億6800万円(7.8%増)、営業利益は101億8400万円(13.5%増)である。
2016年は国内映画興行が過去最高となり業界全体が好調だったが、東映にもその影響を与えている。同社の興行関連事業の売上高は151億1900万円(7.2%増)、営業利益は16億2000万円(11.1%増)と増収増益である。
東映の興行チェーンは、ティ・ジョイのシネコンを中心に205スクリーンを運営する。各スクリーンの立地のよさも、強みになっていそうだ。
東映の発表で、上場する国内主要映画会社の第3四半期決算が出揃った。この結果、東宝、松竹、東映、東京テアトルの映画事業部門は全て増収増益となった。さらにカドカワグループのKADOKAWA映像事業部門も増収黒字化である。
最終的な数字は春以降の通期決算を待つことになるが、現時点で国内主要映画会社の全てが好調を維持していることになる。国内映画産業を取り巻く環境は厳しいと指摘されることは少なくない。しかし、配給・興行を担う映画会社だけを見れば、映画業界は不況とは言えず、むしろ2016年から17年は好調と見える。