2020年10月16日(金)に公開されたアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、一大旋風を巻き起こしている。公開初日が興行収入12億6872万4700円、観客動員数91万507人と、平日としては過去最高のを記録した。これをスタートに映画興行の記録を次々に塗り替えている。公開から3日間、初週末の興行収入は46億2311万7450円、計342万493人とこれまでトップであった2019年の『アナと雪の女王2』を2倍以上の差で上回った。
さらにこの数字は、10月16日から18日に世界で公開された映画のなかでも一番で、『鬼滅の刃』以外の全ての映画の興行収入の合算を上回った。北米で大手シネコンチェーンの大規模な一時閉館が続き、ヨーロッパで新型コロナウィルスの第2波が広がっているのも影響したこうしたムーブメントは各国の大手メディアも取り上げられるなど『鬼滅の刃』の知名度が一気に広がっている。
公開から2回目の週末でも、この勢いは続いている。公開10日目にあたる10月25日(日)に、興行収入は107億5423万2550円と100億円の大台を超えた。観客動員数も798万3442人と桁違いの数字となった。100億円到達の最短記録も更新している。
この結果、2019年12月16日に公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の約72億円、7月17日公開の『今日から俺は!!劇場版』を一気に抜き去り2020年度の映画興行成績のトップに躍り出た。
公開2週目も先週比での減少率は極めて低く、今後も記録を伸ばしそうだ。現段階で歴代興行記録の第32位にランキングするが、200億円台もすでに視野に入り、歴代トップ10は堅いだろう。
『鬼滅の刃』の大ヒットは、優れた作品、巧みなプロモーションに加えて、新型コロナ禍との特殊事情も影響している。同時期に大型作品が少ないことから405館で公開、さらにスクリーンと座席の大半を本作で埋め、ひとつのシネコンで一日に数十回の上映をするなどで、猛烈なスタートダッシュを実現した。
大手興行会社では本作から長く続いた上映ごとの観客数の制限も外すなどで、興行面でも期待をかけた。コロナ禍で元気に失っていた映画業界を一気に活気づけることに成功した。
しかしコロナ禍の影響はまだ続く。今後も数ヶ月間、大型映画公開が少なく、しばらくは『鬼滅の刃』がスクリーンを占めるとみられる。今後はどこまで記録が伸びるのかが、日本だけでなく、海外からも注目を集めそうだ。