東映アニメ通期決算前年並み、海外売上げの増収続く

ファイナンス決算

 国内大手アニメ製作会社の東映アニメーションは、5月14日に2020年3月期連結決算を発表した。国内外のアニメ関連市場の追い風を受けて19年3月期まで過去最高売上高を更新してきた東映アニメだが20年3月期は更新が止まった。しかし減少幅は1.6%と小幅で、売上高は548億1900万円と引き続き高水準を維持している。
 一方で営業利益は160億9400万円(2.2%増)、経常利益は164億5500万円(1.2%増)、当期純利益は114億3700万円(0.5%増)。こちらは小幅ながら過去最高を更新。ほぼ前年並みと言っていいだろう。

【国内減少を海外売上げでカバー】
 売上げの減少は、国内の版権事業と商品事業が前年比で減少したためだ。前年あった遊技機大口契約の反動減のほか、スマホアプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』、「プリキュアプリティストア」が前期に比べて勢いが落ちたことなどが影響した。
 これをカバーしたのは、海外事業である。国内事業売上高が276億3000万円と7.1%減少となったのに対して、海外事業売上高273億5900万円と4.7%増と過去最高を更新した。売上比率では全体の49%とほぼ半分まで迫った。地域別では中国を含むアジア地域が119億4700万円と4割以上を占め、北米も91億7600万円、ヨーロッパが47億800万円とバランスが取れている。特に今回は映画『ドラゴンボール超 ブロリー』が好調だった中南米が54.4%増と大きく伸びて15億2600万円だった。

【劇場・テレビシリーズ制作は高水準維持】
 アニメーション制作や番組販売などの映像製作・販売事業は安定していた。売上高は199億2500万円(2.0%増)、営業利益は45億3300万円(9.3%増)の増収増益。劇場アニメ、テレビシリーズとも制作が高い水準を維持している。
 劇場作品は『プリキュアミラクルユニバース』、、「東映まんがまつり」、『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』がある。『スター☆トゥインクルプリキュア』が公開延期となっているが、『ONE PIECE STAMPEDE』のヒットが貢献した。テレビアニメは、『ワンピース』、「プリキュア」シリーズ、『ゲゲゲの鬼太郎』、『おしりたんてい』など。

【版権事業を支える『ドラゴンボール』と『ワンピース』】
 版権事業は、売上高で全体の6割にあたる297億5100万円(1.5%減)、営業利益は145億300万円(1.0%増)と前年並みだ。
 版権事業の特徴は、少数作品への依存が大きなことである。国内版権は収益全体の半分を『ドラゴンボール』、3/4を『ドラゴンボール』と『ワンピース』に依存している。海外版権も同様で、全体の3/4以上が両作品からとなっている。引き続き、収益作品の多角化がさらなる成長の鍵となる。

 商品販売事業は、売上高は44億100万円(14.8%減)、営業損失は700万円。『ONE PIECE STAMPEDE』関連は好調であったが、前期にあった『ドラゴンボール超 ブロリー』好調の反動減が響いた。

【2021年3月期、劇場とTVシリーズ制作を一挙拡大】
 さらに21年3月期は、劇場アニメとテレビアニメの制作を大幅に拡大する。劇場アニメは前期の17億円から28億円、テレビアニメは29億円から36億円の売上げを予想している。劇場アニメは、劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』前編、『ドラゴンクエストダイの大冒険』、『魔女見習いをさがして』といずれも過去の人気タイトルの再活性化に注力する。テレビシリーズでも『デジモンアドベンチャー:』、『ワールドトリガー』の新シリーズと、コンテンツの多角化に向けた布石となる。
 海外向けではサウジアラビアのマンガプロダクションズとの共同制作『ジャーニー』、日中米共同制作の『The Monkey Prince(仮)』の企画・製作・制作を目指す。さらにオリジナルCGアニメ『KAIJU DECODE 怪獣デコード』と多彩だ。

 21年3月期については減収減益と控えめながらも、連結売上高500億円と3年連続の500億円の大台突破を見通す。営業利益は100億円、経常利益は103億円、ここでも3桁維持とする。当期純利益は70億円を予想する。

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