日本SFファングループ連合会議は、2019年にリリースされた作品を対象とする第51回星雲賞の参考候補作品のリストを発表した。星雲賞はSF大会の参加者が投票で決定するSF作品のアワードで、半世紀を越える長い歴史を持つ。
今秋は日本長編部門、日本短編部門、海外長編部門、海外短編部門、メディア部門、コミック部門、アート部門、ノンフィクション部門、自由部門の9部門から構成、各部門6から11の作品が挙げられている。投票における参考のためのもので、リスト以外からも投票できるが、受賞はほぼ参考作品から選ばれるためノミネートの役割を果たしている。
毎年、アニメが注目されるのが映像や舞台などを対象とするメディア部門である。今回は8作品が挙げられたが、うち5作品がアニメだった。
5作品のうち4作品が劇場作品で、唯一つテレビシリーズから選ばれたのが、2019年夏に放送された『彼方のアストラ』だ。宇宙の辺境に飛ばされた学生たちが故郷を目指すストーリーは巧みな伏線とラストのどんでん返しで話題を呼んだ。
映画ではいくつものデジタル世界がレイヤーのように重なる伊藤智彦監督と脚本: 野崎まどの意欲作『HELLO WORLD』、ダイナミックで先鋭的な映像づくりが魅力の『プロメア』、新海誠監督の大ヒット作『天気の子』。さらにキッズ作品からも劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 神速のALFA-X』が挙がった。
アニメ以外では、海外作品から『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』、邦画実写の『翔んで埼玉』、さらにゲームからは『十三機兵防衛圏』がラインアップされている。いずれも話題作だけに、先の読めない展開になりそうだ。
メディア部門のほかでも、アニメに関係する候補がある。『HELLO WORLD』は野崎まどの氏のノベライズも日本長編部門の候補になっている。ノンフィクション部門では高島雄哉氏の『アニメのSF考証家が描く未来のカタチ 21.5世紀 僕たちはどう生きるか?』、自由部門のシド・ミード展は『ターンエーガンダム』などアニメのデザインも多数飾られていたのも記憶に新しい。
コミック部門の『ニンジャバットマン』は劇場アニメのコミカライズ版、『ハーモニー』は劇場アニメを経てマンガ化と多メディア展開している。
海外長編部門の『三体』は中国でアニメ制作が進行中だ。本作も含めて今回が各部門に挙がった作品からまたアニメ化作品が生まれるかもしれない。
参考候補作の一覧は、日本SFファングループ連合会議のサイトで確認できる。投票は2020年5月7日から7月5日の間、第59回日本SF大会参加者が行う。
ただし第59回日本SF大会の開催が当初の2020年夏から2021年3月に延期されたこともあり、受賞作の発表時期と方法は現在調整中とのこと。贈賞式は21年3月に第59回日本SF大会で実施する。
第51回星雲賞が参考候補作
http://www.sf-fan.gr.jp/awards/2020result.html
【メディア部門】参考候補作
『彼方のアストラ』
『HELLO WORLD』
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
『プロメア』
『天気の子』
『十三機兵防衛圏』
『翔んで埼玉』
『新幹線変形ロボ シンカリオン 神速のALFA-X』