第49回星雲賞決定、「あとは野となれ大和撫子」宮内悠介、メディア部門「けものフレンズ」など

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 日本SFファングループ連合会議は群馬県みなかみ町で開催されている第57回日本SF大会「ジュラコン」にて、第49回星雲賞の受賞作、受賞者を発表した。国内外の長編賞・短編賞、それにメディア部門、コミック部門、アート部門、ノンフィクション部門、自由部門など全9部門で決定した。
 星雲賞は前年に発表されたSF作品、活動から、特に優れたものを、日本SF大会の参加者の投票で決定する。SFファンが直接選ぶこと、その歴史の長さから、毎年注目を浴びている。

 日本長編部門は、宮内悠介氏の『あとは野となれ大和撫子』(KADOKAWA)。中央アジアの架空の国を舞台に、国を救うために臨時政府を立ち上げた少女たちの戦いと冒険を描く。直木賞、芥川賞のもノミネートされた注目作である。宮内氏は2010年に「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞し、脚光を浴びた。これまでに日本SF大賞、吉川英治文学新人賞、三島由紀夫賞などの受賞を重ねているが星雲賞は初だ。
 日本短編部には、柴田勝家氏の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」が選ばれた。『伊藤計劃トリビュート2』(早川書房)に収録された一篇である。
 海外長編部門はカナダの新人シルヴァン・ヌーヴェルの『巨神計画』(東京創元社、訳者・佐田千織)。太古に宇宙からもたらされた人型巨大ロボットを発掘したことから始まる極秘計画がテーマだ。海外短編部門は、中国の現代SF作家・郝景芳mの『折りたたみ北京』(訳者・大谷真弓、ケン・リュウ)となった。〈S-Fマガジン〉2016年12月号 『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(早川書房)に収録されている。

 マンガやアニメの作品も受賞作、参考作に多く名前が挙がるのも、星雲賞の特長だ。映像・舞台などを対象とするメディア部門にはアニメからは、『ID-0』、『正解するカド』、『Re:CREATORS』、『けものフレンズ』が参考作品になっていた。その中から『けものフレンズ』が受賞に輝いた。一見のどかなストーリーの背景にある不穏空気、そして社会現象ともいえる人気爆発となった話題作だ。
 マンガを対象とするコミック部門は、アニメ化もされた石黒正数氏の『それでも町は廻っている』(少年画報社 ヤングキングコミックス)。さらに特別賞で「『超人ロック』生誕50周年トリビュート企画」が受賞した。聖悠紀氏の代表作が誕生から50年を迎えたのを記念して実施された数々の企画が評価された。少年画報社の「ヤングキングアワーズ」掲載されたアンソロジー『超人ロック異聞』や、米沢嘉博記念図書館での展覧会、長寿作への歴史的評価などが受賞理由に挙げられている。

[第49回星雲賞受賞作]

■ 日本長編部門
『あとは野となれ大和撫子』 宮内悠介
■ 日本短編部門
「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」 柴田勝家
■ 海外長編部門
『巨神計画』 (著者・シルヴァン・ヌーヴェル/訳者・佐田千織)
■ 海外短編部門
『折りたたみ北京』 (著者・郝景芳/訳者・大谷真弓、ケン・リュウ)
〈S-Fマガジン〉2016年12月号 『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』(早川書房)に収録
■ メディア部門
『けものフレンズ』 (監督・たつき/原作・けものフレンズプロジェクト/制作・ヤオヨロズ/製作・けものフレンズプロジェクトA)
■ コミック部門
『それでも町は廻っている』 (著者 石黒正数)
■ アート部門
永野のりこ
■ ノンフィクション部門
『アリエナクナイ科学ノ教科書 ~空想設定を読み解く31講~』 (著者・くられ/協力・薬理凶室)
■ 自由部門
「『超人ロック』生誕50周年トリビュート企画」

日本SFファングループ連合会議
http://www.sf-fan.gr.jp/

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