アニメーション部門への影響は?米国アカデミー賞、2020年は配信作品も対象

米国アカデミー賞長編アニメーション部門

 2020年4月28日、米国の映画芸術科学アカデミーは、2020年のアカデミー賞のエントリー基準の例外規定を発表した。これまでは劇場公開より前にテレビ放送や配信をした作品は対象外としてきたが、配信プラットフォームで公開された場合も対象にする。
 通常の規定では、長編映画のエントリーにはロサンゼルス郡で週7日間以上、最低3日間は日に3度以上上映することが条件となっている。

 決定は2020年3月16日以来、ロサンゼルス郡で映画興行が全面的に休止していることを考慮したものだ。現在も興行は中断しており、2020年は公開作品数が大幅に減少することが予想される。
 当初は劇場公開を見込んでいたがリリースを配信に移行した作品をカバーするために、新ルールを導入した。エントリー条件を満たすためには配信リリースから60日以内にアカデミー会員にオンライン視聴を提供する必要がある。

 こうした例外規定は、アニメーションも当てはまる。では実際に長編アニメーション賞にどんな影響を与えるだろうか。
 2020年は現状でエントリー資格を持つ作品が極端に少なくなるとみられる。一年の1/3が過ぎた4月30日までの段階で、目立った作品はディズニーの『Onward』と、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』、『きみと、波にのれたら』ぐらいしかない。
 劇場興行が再開されても、新たなスケジューリング調整が必要なため直ぐには新作公開とはいかなそうだ。ディズニー、ピクサー、ブルースカイの3つのアニメーションスタジオを抱えるディズニーは全体で今後の2020年公開予定は11月20日スタートの『Soul』のみ。他のスタジオでも10月、11月まで新作の予定がない。

 こうしたなかでユニバーサルは、米国公開されていないドリームワークス・アニメーションの大作『Trolls World Tour』の配信をスタートした。劇場興行主からの反発があるものの、商業的に成功を収めている。こうした作品が選考対象に加わる。
 もうひとつの要素はNetflixである。Netflixは2019年に『クロース』で自社オリジナルの長編アニメーションに進出している。2020年以降も年数本の長編アニメーションをリリースするとしている。もとから配信中心に企画された作品は、劇場公開をすることなく従来スケジュールで発表されるとみられる。Netflix作品が賞レースに大きく関わってくる可能性は高いだろう。

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