映画会社大手の東宝が2024年12月23日、2025年の配給ラインナップを公開した。例年は12月第2週にラインナップ発表会を開催し披露することが多かったが、今年は12月第4週といつもよりやや遅めのタイミングだ。
2024年12月公開から2026年公開、制作中も含めて、発表された東宝配給の映画は30本だった。また今年から東宝は劇場数を押さえた小中規模の配給レーベル「TOHO NEXT」（旧東宝映像事業部）のラインナップも合わせて公開している。ただ洋画が中心の関連会社東宝東和の配給作品はここには含まれない。
30本のうちアニメ映画は7本、全体の2割強と本数自体は目立って多いわけでない。さらにこのうち2本は他社との共同配給となる。しかしラインナップは強力で、配給収入、興行収入に占める割合は来年も引き続き高くなりそうだ。
まずは『ドラえもん』、『名探偵コナン』、『クレヨンしんちゃん』と毎年安定して大ヒットを飛ばす3作品がある。これらが引き続き観客を集めるのは確実だろう。それに『鬼滅の刃』、『チェンソーマン』とテレビシリーズも人気のジャンプ原作作品が2本、原作も含めて大ヒット作だけに、こちらも大きなヒットが期待できる。
異色なのは、1月17日公開の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』である。「エヴァンゲリオン」シリーズのカラーが参加する話題作で、シリーズに先立っての劇場先行版として公開する。イレギュラーな公開形式はODS興行に多いスタイルだが、今回は400スクリーン近い大型公開になる。これまで松竹配給が多かったガンダムシリーズの配給が東宝で大規模にという点も含めて勝負作だ。
さらに勝負作品となるのが、『竜とそばかすの姫』以来、4年半ぶりの細田守監督の新作となる『果てしなきスカーレット』である。国内配給のほか海外配給をソニー・ピクチャーズが担当することも発表され、国内外ほぼ同時期の世界公開の可能性もありそうだ。グローバルに向けた超大作の位置づけになる。
アニメ作品はTOHO NEXTで目立つ。TOHO NEXTは、昨年まで東宝映像事業部として主にODS興行を中心に行ってきた。現在はより規模の小さな映画配給のセカンドレーベルの色合いが濃くなっている。中心は舞台やライブなどのスクリーン興行、そしてアニメである。
今回は9作品のうち『ベルサイユのばら』、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』、『しまじろうと ゆうきのうた』、『怪獣８号』、『呪術廻戦 懐玉・玉折』、『LUPIN THE ⅢRD THE MOVIE（仮）』と6作品がアニメとなった。個性たっぷりの劇場向け企画からシリーズの総集編まで多彩だ。『LUPIN THE Ⅲ』以外は25年前半に公開が集中しており、今後年後半に向けてタイトルが増える可能性もある。そうなると本数で東宝配給を上回るかもしれない。
実写映画では、『聖☆おにいさん THE MOVIE』、『アンダーニンジャ』、『トリリオンゲーム』、『お嬢と番犬くん 』、『 沈黙の艦隊 北極海大海戦』、『ゴールデンカムイ』劇場版２（仮）といったマンガ原作が引き続き多い。さらにドラマシリーズの劇場版など、昨今のヒット作の定石を押さえた作品が目立つ。
実写映画で注目されるのは、2025年秋公開の『秒速５センチメートル』だ。新海誠の初期のアニメ代表作を監督・奥山由之、主演・松村北斗で実写化する。往年の名作がどのようなかたちで現代に甦るのかが注目だ。
「TOHO LINE-UP 2025」 アニメ作品
【東宝】
■劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』 2025年1月17日公開
*バンダイナムコフィルムワークス共同配給
■映画ドラえもん のび太の絵世界物語 2025年3月7日公開
■劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』 2025年4月18日公開
■映画クレヨンしんちゃん 超華麗！灼熱のカスカベダンサーズ 2025年8月1日公開
■『果てしなきスカーレット』 2025年冬公開
■『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』 2025年公開
*アニプレックスと共同配給
■劇場版『チェンソーマン レゼ篇』 2025年公開
【TOHO NEXT】
■劇場アニメ『ベルサイユのばら』 2025年1月12日公開
■映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 2025年2月21日公開
■映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』 2025年3月14日公開
■アニメ『怪獣８号』第１期総集編／同時上映「保科の休日」 2025年3月28日公開
■劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折 2025年5月30日公開
■『LUPIN THE ⅢRD THE MOVIE（仮）』 2025年公開
