ブシロード、CGアニメのサンジゲンの株式8.2%取得 オリジナル作品拡充目指す

提携

 エンタテイメント企業のブシロードが、アニメーション制作会社との連携強化に動いている。2019年12月11日にキネマシトラスへの出資・株式取得を発表したが、その2日後となる13日に今度はCGアニメ制作の有力会社サンジゲンへの出資を明らかにした。
 ブシロードは13日開催された取締役会において、サンジゲンとの資本業務提携を決定した。12月20日付で同社の発行済株式の8.2%にあたる250株を取得する。取得価額は、非公表。
 持株会社のウルトラスーパーピクチャーズが75.4%を所有して、引き続き筆頭株主に留まる。また代表取締役社長の松浦裕暁氏が第2位株主で16.4%を保有する。
ブシロードはサンジゲンの親会社となるウルトラスーパーピクチャーズにも、2011年の設立時に出資をしている。従来から関係は密であったが、サンジゲンへの直接出資でアニメーション制作にダイレクトにつながる。

 ブシロードは株式取得の目的について、業界内の優れたクリエーターと協働のためのパートナーシップと位置づける。制作現場の優れた人材を確保することで、ハイクオリティなアニメーション制作を目指す。特に自社オリジナルのアニメコンテンツの拡充に注力するとしている。

 サンジゲンは2006年に松浦裕暁氏らがCGアニメのスタジオとして立ち上げた。CGスタジオがゲームやCM、遊技機などの仕事が中心にする時代にテレビや映画のアニメに注力し、成長を続けてきた。特にセルルックと呼ばれる手描きアニメのスタイルをCGで表現することを得意としている。2012年の『009 RE:CYBORG』、2013年の『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』など、この分野先駆的な作品で広く知られている。
 現在はアニメーション制作の企画から制作までの全工程を担当する元請制作を多く手がける。CGアニメスタジオの大手の一角である。ブシロードとは、同社の代表作『BanG Dream!』の制作でつながりが深い。

 現在国内ではアニメ制作の急拡大により、現場スタッフやアニメスタジオの不足が指摘されている。特に安定してクオリティを維持できるスタジオは取り合い状態になっている。ブシロードは強力な資本関係を結ぶことで、優秀なスタジオとの協力で優位に立つことが可能になる。
 ブシロードが先日出資したキネマシトラスは、手描きアニメを中心に制作している。逆にサンジゲンの得意分野はCGである。ブシロードは手描きとCGの双方で、有力スタジオとのつながりを深める。

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