新千歳が長編コンペ発表 日本から「音楽」、アヌシー受賞3作品も

新千歳空港国際アニメーション映画祭

 新千歳空港国際アニメーション映画祭が、今年の長編アニメーションコンペティションのオフシャルセレクションを発表した。グランプリ作品のノミネーションに当たる作品だ。
 新千歳は日本発の国際アニメーション映画祭として2013年にスタート。今年で第6回目を迎える。当初は短編のみだったが、昨年より長編部門も設けてより総合的な国際アニメーション映画祭の陣容を整えた。

 2年目の長編部門だが、応募は世界32ヶ国地域から50作品があった。ここから選ばれたのはわずかに5作品。十倍もの厳しい競争を勝ち抜いた。
 それだけに良作が並んだ。ラトビアのGints Zilbalodis監督の『Away』、チリのCristobal León監督とJoaquín Cociña監督による『The Wolf House』、カナダのFélix Dufour-Laperrière監督の『Ville Neuve』。そして『失くした体』の邦題で発表されたJérémy Clapin監督の作品は、これまで『I Lost My Body』のタイトルで知られてきたフランスの作品である。また日本からは岩井澤健治監督の『音楽』が選出されている。世界の広い地域から作品が集まった。

 今回の特長は、すでに世界で高い評価を受けている作品が並んだことだ。『音楽』を除く4作品は、全て今年のアヌシー国際アニメーション映画祭でも上映されている。さらに『失くした体』はクリスタル賞(グランプリ)、『The Wolf House』は審査員特別賞、『Away』はContrechamp賞を受賞している。
 これらが再び新千歳に集結する。これに新しく『音楽』も加わり、新千歳がどんな基準でどの作品を選び出すのかも楽しみだ。海外の国際映画祭で高く評価された作品も、日本で上映する機会がなかなか見つからないことが多い現状で、新千歳は作品鑑賞の貴重な機会を提供する。

 日本からの作品となった『音楽』は、7年を超える制作期間をかけて約70分の作品をオール手描きで映像化した自主制作作品。マンガ家・大橋裕之の原作を岩井澤健治監督が手がけた。ロトスコープを使った映像表現、作品の核となる音楽も注目を集めそうだ。
 本作は先日発表されたオタワ国際アニメーション映画祭の長編コンペティョンに選ばれており、そこがワールドプレミアである。国内では新千歳が作品披露の場になるとみられる。映画祭には岩井澤監督と松江哲明プロデューサー、音楽のトクマルシューゴ、伴瀬朝彦らが参加する。
 また『Away』のZilbalodis監督、『The Wolf House』のCristobal León監督も来日予定、映画祭に参加する。新千歳らしい国際色豊かな映画祭になる。

 映画祭期間中、長編部門の選考をする国際審査委員3名も発表されている。海外からはまずウクライナのダニエル・スルジック。ザグレブ国際アニメーション映画祭のアーティスティック・ディレクターを務めるなど経験豊富な存在だ。
 チョン・ダヒは短編アニメーションで、アヌシーと広島でグランプリを獲り、2019年はカンヌ国際映画祭の監督週間に招待されている。アジアを代表する作家である。
 日本からも東宝の武井克弘プロデューサーが国際審査員となる。劇場映画『HELLO WORLD』やテレビシリーズ『宝石の国』、『Beastars』などを世に送り出している。

第6回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
http://airport-anifes.jp/

【長編アニメーションコンペティション オフィシャル作品】
『音楽』 (岩井澤健治監督)
『Away』 (Gints Zilbalodis監督)
『The Wolf House』 (Cristobal León /Joaquín Cociña監督)
『Ville Neuve』 (Félix Dufour-Laperrière監督)
『失くした体(I Lost My Body)』 (Jérémy Clapin監督)

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