新千歳のアニメーション映画祭 短編コンペ100作品を発表

第7回新千歳国際アニメーション映画祭

 今年で7回目を迎える新千歳空港国際アニメーション映画祭が、短編コンペティションのノミネート作品を発表した。選出されたのはインターナショナル部門38作品、インターナショナル部門(ファミリー)10作品、日本部門21作品、学生部門17作品、ミュージックアニメーション部門14作品、全て合わせると100作品にもなる。
 2020年はエントリー期間が新型コロナ感染症拡大に重なるクリエイターにも厳しい時期だったが、応募総数が2174作品と今年も大型国際映画祭に匹敵する規模となった。継続的な開催、個性的な作品ラインアップによる映画祭の知名度の向上も理由だろう。エントリーの豊富さがノミネート数も押し上げたが、それでも採択率は5%以下という厳しい競争であった。

 2020年の特徴は、幅広い地域からの応募である。応募者の所属場所は91ヵ国・地域と過去で幅広い。ノミネート入りしたのも23ヵ国・地域と幅広い。
 短編アニメーションに伝統があるヨーロッパは42作品、北米15作品、日本を除くアジアは15作品、日本からは日本コンペティション21作品を含めて28作品となった。インドやイラン、インドネシア、ジョージアといった珍しい国からのエントリーもある。

 日本からインターナショナルコンペに選ばれたのは、瀬尾宙さんの『anipulatio』、中国出身で日本の大学院で学んだ周小琳さんの『十二月』、モーションコミックからクイックオバケさんの『夜の冒険』となった。インターナショナルコンペ(ファミリー)には日本の巨匠・山村浩二さんの『ゆめみのえ』、大西景太さんの『14のカノン BWV 1078』と見応えがある。
 さらにミュージックアニメーション部門は、国際映画祭常連の冠木佐和子さんの『栗コーダーカルテット「サウスポー」』、ゆはらかずきさんのVR作品『トクマルシューゴ「Canaria」』がラインアップされている。また日本部門の学生作品は、学生部門の審査の対象ともなる。

 新千歳の特徴のひとつに、伝統的な短編作品に加えてVRやGIFアニメ、モーションコミックといった新しいメディア表現の積極的な取り入れがある。2020年はさらにインスタレーションまでを対象に間口を広げ、意識して新しい表現を求める。
 新しいメディアの応募作品が実際にどれぐらい映画祭で披露されたのだろうか。インターナショナルコンペは38作品のうち6作品、日本コンペはGIFとインスタレーションで2作品、ミュージュックアニメーションコンペはVRの1作品だった。数は決して多くない。しかしどう並べて作品を披露するのか、他作品への刺激も含めて、映画祭での反応が気になる。
 
 2020年11月20日から23日までに開催される映画祭のなかで国際審査員によって、短編グランプリ、新人賞、日本グランプリ、学生グランプリ他の各アワード決定、贈賞される。ノミネート作品の詳細は、映画祭のサイトで確認できる。
長編部門についても、今後ノミネートが発表される。同じ日程で審査、アワードの決定、贈賞をする予定だ。

第7回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
https://airport-anifes.jp/

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