長編部門コンペ5作品発表、新千歳空港アニメーション映画祭

第7回新千歳国際アニメーション映画祭

 2020年11月20日から北海道の新千歳空港ターミナルビルとオンラインで、第7回新千歳空港アニメーション映画祭が開催される。この長編部門のコンペティション作品が、このほど発表された。
 世界21ヶ国・地域から応募された49作品の中からコンペティションに選ばれたのは5作品。韓国の『Beauty Water』、南アフリカの『Bru & Boegie: The Movie』、ポーランドの『Kill It and Leave this Town』、ラトビアの『My Favorite War』、そして日本からもニック・ディリバルト監督の『Bru & Boegie: The Movie』がラインナップされる。

 今年で3回目を迎える長編部門だが、これまでの2回に較べて新千歳らしい個性を全面に押し出してきた。昨年、一昨年は、世界の著名なアニメーション映画祭でも話題になった有名作品が中心だったが、今回はまだあまり知られていない作品も多い。新しい作品と才能を積極的に発見し、新千歳ら世界に送り出そうとの意気込みがみられる。
 さらに5作品ながら、テーマや表現方法も多彩で、個性たっぷりである。アニメーションの多様性と表現の豊かさを感じさせるのに充分だ。

 際立った個性は日本作品の『Bru & Boegie: The Movie』からも感じられる。ニック・ディリバルト監督はカナダ出身の沖縄在住のアニメーション作家である。4年間かけて全編自身による手描き作品で、スリリングな逃走劇を表現する。
 韓国の『Beauty Water』はオンラインのホラーマンガを原作としたCGアニメーション。南アフリカの『Bru & Boegie: The Movie』もオンラインの短編シリーズの劇場長編である。いずれもオンラインと結びついているのが現代的である。
 ポーランドの『Kill It and Leave this Town』も、制作期間11年を要した。人気のアニメーション作家が初の長編に挑んだ。
 ラトビアの『My Favorite War』は、近年世界的に注目されるドキュメンタリーアニメーションの手法を用いている。ソ連支配下のラトビアで生まれ育った監督自身の体験を映像化した。アヌシー国際アニメ
ーション映画祭ではコントルシャン部門のグランプリを受賞している。

 作品は短編部門とともに、映画祭会期中に新千歳空港シアターとオンラインで上映を実施。そのうえで国際審査委員によりグランプリなどの各賞を決定する。

第7回 新千歳空港国際アニメーション映画祭
https://airport-anifes.jp/

【長編部門コンペティション作品】
『Beauty Water』 Kyung Hun CHO監督(韓国)
『Bru & Boegie: The Movie』 Mike Scott監督(南アフリカ)
『Empress of Darkness』 Nick DiLiberto監督(日本)
『Kill It and Leave this Town』 Mariusz WILCZYNSKI監督(ポーランド)
『My Favorite War』 Ilze Burkovska Jacobsen監督(ラトビア)

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