山村浩二「幾多の北」和田淳「半島の鳥」、オタワで長編・短編両グランプリが日本から


 2022年9月21日から25日まで5日間にかけてカナダで開催された第46回オタワ国際アニメーション映画祭は、最終日の25日にコンペティション部門の受賞作品を発表した。このうち長編、短編のグランプリ、そしてノンナラティブショートの最優秀賞と3部門を日本監督の作品が占める快挙となった。
 長編部門は日本を代表するアニメーション作家・山村浩二監督の初長編『幾多の北』、短編部門は和田淳監督の『半島の鳥』がそれぞれグランプリとなった。ノンナラティブショート部門は、ストーリーを持たない抽象的な作品を対象にする。こちらは榊原澄人監督の『飯縄縁日』が最優秀賞に選ばれた。

 オタワ国際アニメーション映画祭は、1976年にスタート。今年で46回目を迎える歴史を誇り、フランスのアヌシー、クロアチアのザグレブと並ぶ世界3大アニメーション映画祭のひとつである。実験的な新しい表現の作品を選出することで定評がある。
 コロナ禍では他の多くの世界の映画祭と同様に、規模の縮小を強いられていた。コンペティションのグランプリを選ぶのは2019年以来3年ぶりになる。そのなかで日本の3作品の受賞は快挙と言っていいだろう。

山村浩二『幾多の北』

山村浩二『幾多の北』

 山村浩二監督は1964年生まれ。早くからアニメーション作家として活躍し、2002年の代表作『頭山』ではアヌシー、ザグレブ、広島でグランプリとなり世界を驚かせた。『カフカ 田舎医者』(2007)でもオタワでグランプリを受賞している。
 『幾多の北』は、アヌシーでもコントルシャン部門クリスタル賞(グランプリ)、ザグレブでは特別賞に輝いており、世界的な評価を受けている。オタワの審査員は「観客の感覚を刺激する映画である。ストーリーテリングな境界線と構造を打ち破り、作中のイメージには一貫した創造的なプロセスがあり、感覚の世界とエコシステムを描くことに成功している。創造性と感覚、詩的な映像のすべてが美しく結びついた作品だ」と評している。

和田淳『半島の鳥』

和田淳『半島の鳥』

 和田淳監督は大阪教育大学、イメージフォーラム付属映像研究所、東京藝術大学大学院で映像を学び、2010年の『わからないブタ』で一躍注目された。2012年にはベルリン国際映画祭短編部門で『グレートラビット』が銀熊賞を受賞している。『半島の鳥』は、日本とフランスの共同製作で作られている。「表現力豊かで、コミカルで、完成度が高く、簡潔である」と高く評価された。
 榊原澄人監督は、英国のロイヤルカレッジオブアートを卒業後、様々な映像表現で活躍してきた。各国の映画祭、展覧会で活躍する。長野県在住で、『飯縄縁日』では地元の風景と自身の内在的原風景を取り混ぜた。

榊原澄人『飯縄縁日』

榊原澄人『飯縄縁日』

第46回オタワ国際アニメーション映画祭
Ottawa International Animation Festival

https://www.animationfestival.ca/

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