2019年7月13日から21日まで埼玉県川口市で開催された「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」は、最終日に各部門の受賞作品を発表した。
なかでも注目の大きな国際コンペティション部門で、ノルウェー/フランス/スウェーデン合作でマッツ・グルードゥ監督の『タワー』が最優秀作品賞を受賞した。会期中の観客投票による観客賞にも輝きダブル受賞となった。
『タワー』は、レバノンの難民キャンプで暮らすパレスチナ人の少女・ワルディとその曽祖父・シディを描いたドキュメンタリー作品。ドキュメンタリー・アニメーションは現在、世界でもトレンドのひとつになっているが、本作は人形を使ったストップモーションを大胆に取り入れているのが特長だ。作品完成には8年もの期間を必要としたという。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は16年の歴史を持つが、国際コンペティションでアニメーション作品がグランプリとなるのも、挙げられた今回が初めてとなる。
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、デジタルシネマにフォーカスした国際映画祭として2004年にスタートした。国際コンペティションと長編部門と短編部門の国内コンペティションを設けている。若手映像クリエイターに特にフォーカスしている。今年は92の国と地域から861本の応募があった。
今回審査委員長を務めた三池崇史氏は、今回の国際コンペティションについてすべてジャンルが違うことを特長に挙げて、「映画作品に垣根はありません」という感覚があったとしている。
世界的に見ても、映画界における長編アニメーションの存在感ま拡大するに傾向が強まっている。『タワー』の最優秀作品賞は、そうした世界の潮流がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭でも表れたと言ってよさそうだ。