米国アニメーション局”ニコロデオン” 配信で日本再進出 dTVとHuluで展開

配信

 米国のアニメーション専門局のニコロデオンが、2018年2月より日本での挑戦を再開する。国内映像配信プラットフォームの大手dTV内「dTVチャンネル」、そしてHuluに独自チャンネルを設ける。両社のユーザーに向けて、人気アニメーションを中心に自局番組を提供する。
 このチャンネルはオンデマンド視聴でなく、テレビ放送形式の24時間放送となる。CSチャンネルのインターネット版と言えばわかりやすいだろう。

 ニコロデオンは、グローバル規模のメディアコングロマリットのバイアコムグループの子どもチャンネル部門。国内ではバイアコム・インターナショナル・メディア・ネットワークスの日本法人バイアコム・ネットワークス・ジャパン合同会社が事業を統括している。
 『スポンジ・ボブ』、『ミュータント タートルズ』、『ドーラといっしょに大冒険』、さらにドリームワークス・アニメーションが制作する『ザ・ペンギンズ from マダガスカル』などの人気作品を数多く保有している。この分野では、ディズニーやワーナーなどと並ぶ世界3大チャンネルのひとつである。新しいチャンネルではよく知られた人気番組に加えて、『シマー&シャイン』、『ブレイズ・モンスターマシーン』などの最新作も編成する。ニコロデオンとそのキャラクターブランドの確立を目指す。

 ニコロデオンは、1998年にアニメーション専門のCS局として一度日本で開業している。しかし、日本アニメの根強い人気や、ディズニーグループ、カートゥーンネットワークとの競争が厳しく2009年に放送局事業を終了していた。このため日本では独自の放送局をもっていなかった
 放送事業終了後は、自社番組の他局への提供や、キャラクター事業のみを日本で展開していた。しかし、人気キャラクター番組の放送再開を望むファンの声は少なくなかった。

 そこで8年半ぶりに、テレビでなく配信のかたちで日本に再進出する。もともとニコロデオンは多くの自社有力番組を多く持っている。加えて、配信をメインにすることで、従来よりもコストを大幅に低くすることが可能になるとみられる。
 また今後、映像プラットフォームと競合が激化することが予想されるCS局でなく、むしろ配信にフォーカスすることでビジネスの成長を目指す。世界170ヵ国以上に進出するニコロデオンだが、こうした定額動画配信プラットフォームを活用したリアルタイム配信は世界でも初の試みとなる。競争の厳しい日本市場だからこその取り組みとなった。
 dTVとHuluは日本国内では有料契約者数で国内大手のプラットフォームであるため、当初からこれらのユーザーにアプローチできることも大きい。ニコロデオンが配信を活用することで、アニマックス=キッズステーション、ディズニーなどの先行するライバルにどれだけ迫れるのか、今後関心を集めそうだ。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 太素(TAISU)
     『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎監督、『九十九』で米国アカデミー賞短編アニメーションにもノミネー…
  2. かがみの弧城
     本屋大賞に輝く辻村深月の『かがみの孤城』は、ベストセラーとして世代を超えて支持を集めてきた。学校で…
  3. クランチロール
    末平アサ氏(チーフコンテンツオフィサー)インタビュー  2021年8月にソニーグループが、米国に拠…
ページ上部へ戻る