昨年夏にAT&Tと経営統合を果たしたワーナー・メディアが、コンテンツ配信事業の再編に活発に動いている。2019年5月31日にワーナー・メディアは、旧AT&Tの配信部門会社であったオッター・メディア(OTTER MEDIA)を解体し、関連事業をワーナー・メディアの直轄事業にすることを明らかにした。
クランチロールをはじめとするサービスは、ワーナー・メディア内の配信部門(direct-to-consumer)の事業となる。オッター・メディアの経営陣は、ワーナー・メディアの配信部門で各役割を担う。
オッター・メディアは、日本国外の日本アニメ配信のクランチロール、配信向けのタレント・クリエイターマネジメントのフルスクリーン、ゲーム開発などのルースター・ティースなどをグループ会社にしている。もともとAT&Tの子会社だったが、先の経営統合を受けワーナー・メディアの子会社に移された。
昨年12月には、ワーナーブラザース運営のゲームファン向けコンテンツ配信マニシマ(Machinima)を吸収するなどの再編もあった。それから半年、さらなる再編でオッター・メディアが姿を消すことになる。
展開の早い再編は、ワーナー・メディアが2019年末までにNetflixやAmazon プライムビデオ、Diseny+に対抗する映像配信プラットフォームのスタートを予定していることに理由がある。新しいプラットフォームではHBO、ワーナー・ケーブルネットワーク、ワーナーブラザースの各作品、さらにオリジナル作品の配信も視野に入れている。
これにあたりグループの関連事業を統合、これまでの経験や技術の取りこみも目指しているとみられる。ロイヤリティの高いファンに向けたビジネスで成功してきたオッター・メディアの各サービスもそこに含まれるというわけだ。
日本アニメ配信のクランチロールは毎月1200万人のユーザーと200万人以上の有料会員を抱えている。日本アニメでは世界最大だが、数千万から億を超える契約者を持つ映像プラットフォームサービスのなかでは中小の位置づけである。ワーナー・メディアの新しい映像プラットフォームのなかでどういったかたちになるのか、今後半年間で見えてきそうだ。