
ソニーグループ内でアニメ事業での各社連携がより強くなっている。日本のアニメ事業会社アニプレックスと米国の日本アニメ配信プラットフォームのクランチロールは、このほど共同出資のプロデュース会社「株式会社HAYATE」を設立した。
HAYATEはアニメを主とした映像作品の企画プロデュースをする。グローバルにアニメ配信を行うクランチロールのサービスに合ったアニメ作品を目指すとしている。
本社はアニプレックスの本社もある東京都千代田区番町に置かれる。会長兼CEOに『鬼滅の刃』や『俺だけレベルアップな件』のプロデュースも担当したアニプレックスの三宅将典氏、社長兼COOには渡邊怜央氏が就任する。
アニプレックスは、アニメを中心に映像、音楽、ゲーム、舞台・イベント、フィギュアやグッズなどを幅広く手がける総合エンタテイメント企業で、とりわけアニメ分野で存在感が大きい。子会社にはアニメスタジオのA-1 PicturesやCloverWorksもあり、アニメの企画・制作でノウハウが豊富だ。
クランチロールは世界に1500万以上のユーザーを持つ、グローバルのプラッットフォーム。近年は配信だけでなく、劇場配給やグローバルのライセンス管理、イベント事業など多角化を進めることで急成長している。
しかしアニメ作品自体については、製作出資などはあるが企画プロデュースは必ずしも多くなかった。新会社は、両社のノウハウとネットワークを合わせることで、グローバルタイトルを目指すことになる。
同じソニーグループ内の企業間の取り組みは自然に見えるが、実際にはアニプレックスとクランチロールの関係は複雑だ。
アニプレックスは日本法人の音楽事業会社ソニーミュージックの子会社であるのに対して、クランチロールは米国法人の映像事業会社ソニー・ピクチャーズの傘下にある。ソニー・ミュージュック(日本)とソニー・ピクチャーズ(米国)の間にはやや距離がある。
一方で、アニプレックスはクランチロールにも出資し、アニメを通じてソニー・ミュージュックとソニー・ピクチャーズのビジネスをつなぐ。さらに今回はそのクランチロールと共同出資会社を設立することで、さらにグローバルに向けたビジネスの一体感が増す。ソニーグループのグローバルのアニメ事業の一体化と深化を窺わせる。