経済産業省が日本コンテンツの海外展開を促進するプロジェクト「コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(J-LOD)」が、応募受付を映像産業振興機構にて開始している。これまでアニメや映画、キャラクター事会社も活用してきた「J-LOP」などの仕組みをさらに発展させたものだ。
「J-LOP」等はアニメ・映像業界では、「海外展開する際の多言語翻訳」、「海外向けプロモーション」の補助金制度で知っている人も多い。これに対して「J-LOD」では、これまでの仕組みも残しつつ、新たな取り組みをしている。日本の作品が映像プラットフォームで世界同時発信される時代、コンテンツ産業支援に新しいかたちが求められているというわけだ。
支援対象は主に3つに分けられる。
1)コンテンツ等の海外展開のローカライズ・プロモーション
2)海外展開を目指すコンテンツのパイロット映像制作
3)デジタル技術を活用した先進性の高いコンテンツ等開発
1)は、2014年の「J-LOP」から引き続き実施されているものだ。海外配信が活性化するなかでローカライズは日本アニメでも多く活用されている。プロモーションは国内外国際見本市、カルチャーイベントで利用されている。
2)が昨年からの新しい取り組みだ。日本アニメ・映画・テレビ番組など映像作品の国際化に伴い、近年は海外と共同製作・海外出資などを企画段階から求めることが増えている。そうした際に海外ビジネス向けに重要になるのが、作品の完成イメージを説明するパイロットフィルムである。この制作の対象経費の1/2を補助する。パイロットフィルムをより制作しやすくすることで、海外ビジネスの促進を図る狙いだ。
3つめは、テクノロジーを活用したコンテンツ事業である。こちらは3つに分かれており、①デジタル技術を活用したコンテンツ自体、②ブロックチェーン技術を活用したコンテンツの流通システム、③コンテンツ制作工程の効率化に関するシステムと分かれている。
③が少し判り難いが、応募資料ではスケジュール管理や予算・労務管理、取引契約、人材登録やマッチングなどが挙がっている。制作工程やバックオフィスのデジタル化を目指しているようだ。
国の制度を利用した補助金は敷居が高い、大企業の利用が多いとも思われがちだ。しかし昨年も実施されたパイロッットフィルムの補助金支払いの36件には、様々な企業が参加している。
アニメーション分野ではモンブラン・ピクチャーズのテレビアニメ企画『チャドとクラークのぼうけん島』、ニューディアーによるアニメーション作家和田淳の世界をゲームにした『マイ エクササイズ』β版、BILBAによる劇場長編『文学少年と書を喰う少女』パイロット作成などがあった。
補助金対象がいくつかの分野にまたがり、やや判り難いところも多い。さらに応募には書類作成も多く敬遠しがちだ。しかしとりわけパイロットフィルムに特化した補助金は珍しく、パイロットフィルム制作の予定があれば検討する価値は高いだろう。
映像産業振興機構では、説明会を実施している。日時は複数あり、事前予約も不要なため気軽に足を向けられる。詳細は公式サイトの「J-LOD」のページで確認出来る。
コンテンツグローバル需要創出等促進事業費補助金(「J-LOD」)
https://www.vipo.or.jp/project/j-lod/