エイベックス通期決算 アニメ事業売上高前年並み141億円 非映像ソフトが下支え

ファイナンス決算

 音楽映像大手のエイベックスは5月9日に、2019年3月期通期決算を発表した。連結売上高1612億2600万円(2.0%減)、営業利益は70億8900万円(2.2%増)、経常利益は65億2900万円(0.8%減)、当期純利益は23億5400万円(9.5%減)、ほぼ前年並みとなった。
 売上げの8割以上は音楽事業で1300億8200万円(8%増)。営業利益は67億4900万円(4%増)。残りがアニメ事業、デジタル事業、海外事業などとなる。
 
 アニメ事業はエイベックス・ピクチャーズ、アニメタイムズ社、anchorを中心に構成される。売上げは141億1200万円と、前年の142億2600万円とほぼ同水準となった。主力作品は18年10月からテレビ放送された『ゾンビランドサガ』、劇場映画では19年3月公開の「えいがのおそ松さん」。2018年の業界全体のアニメ映像パッケージの落ち込み幅を考えれば、堅調と言っていいだろう。 

 こうした業績はアニメ事業内で急激に進む非パッケージ中心のビジネスモデルにありそうだ。『ゾンビランドサガ』といったヒット作はあったが、映像パッケージの売上高は前年の50億1500万円から41億6200万円に17%減少。DVD/Blu-rayの売上枚数は49万2000枚、前年の67万1000枚から17万9000枚のマイナス。1商品当たりの単価は5282円から6444円と上昇したが、枚数の減少を補えない。
 一方でライセンス販売やライブなどの非パッケージ事業の売上げは、92億5100万円から99億円8600万円と7.9%増となった。この結果アニメ事業の全体売上高に占めるパッケージの比率は30%を切った。2、3年前まではおよそ半分がパッケージであったのと比べると様変わりだ。
 アニメ事業の営業利益は、1億9500万円のマイナスと赤字に転じた。事業構造の転換に向けた新規投資がコストを押し上げている可能性が高そうだ。非パッケージ事業の新しい動きでは、昨年7月にグラフィニカと共同で設立したCGアニメスタジオFLAGSHIP LINEが目玉である。アニメーション制作への進出は今後のグループへの影響も大きそうだ。

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