日本初の長編カラーアニメ『白蛇伝』がデジタルリマスター版となって、5月14日から25日まで開催される第72回カンヌ国際映画祭で上映されることになった。映画祭の中の企画部門カンヌクラシックの1作品になる。
カンヌクラシックは2004年に設立され、過去の名作映画を集中的に取り上げる。映画の再評価、アーカイブ的な機能も期待されている。なかでも修復された傑作の紹介は重要な役割のひとつだ。
これまでにも東映からは『仁義なき戦い』、『楢山節考』などのデジタルリマスター版も上映されている。東映アニメーションの作品は、今回が初だ。
『白蛇伝』が誕生したのは1958年、いまから61年も前。当時、会社設立から間もない東映動画(現・東映アニメーション)が、スタジオのエネルギーを注ぎ込んで制作した。スタッフとして戦後日本のアニメを代表するアニメータである大工原章、森康二、さらに大塚康生、奥山玲子らが参加した。
中国の民話『白蛇伝』をモチーフにした純愛ストーリーは、豊かな色彩と木下忠司による音楽で華やかに彩られた。戦後日本アニメのスタートの相応しい作品だ。
デジタルリマスター版は、そんな当時の映像をいまに蘇らせる試みである。国立映画アーカイブと東映アニメーション、東映が協力、4Kスキャンニングとデジタルリマスターを実施した。
国立映画アーカイブはこれまでにも1910年代から40年代の短編アニメーションのデジタル化事業を行っている。今回のプロジェクトもそうしたアニメーション文化の保存の一環と言えそうだ。