アヌシー映画祭長編部門に日本4作品 湯浅政明、原恵一、櫻木優平、渡辺歩

シャルロット・ガストー(Charlotte Gastaut)

 世界最大の国際アニメーション映画祭であるフランスのアヌシーが、2019年の長編部門のコンペティション部門のエントリー作品を発表した。
 このうち日本からは湯浅政明監督の『きみと、波にのれたら』、原恵一監督の『バースデー・ワンダーランド』、櫻木優平監督の『あした世界が終わるとしても』が選ばれた。オフィシャルコンペ部門8作品の3作品が日本からだ。また今年より新設された新長編部門であるContrechampには、『海獣の子』が選ばれている。こちらは8作品のうちの1作品。長編部門全体では16作品のうち4作品を日本が占める。

 『きみと、波にのれたら』は、湯浅政明監督の4本目の長編アニメにあたる。サーファーの女の子と消防士の男の子のラブストーリーと、これまでの湯浅監督と異なったテーマが注目を集めている。日本では6月21日公開となるが、その直前の開催となるアヌシー映画祭での活躍も期待されそうだ。
 湯浅監督はアヌシーとの相性の良さでも知られる。前作『夜明け告げるルーのうた』では、2年前に長編部門クリスタル賞(グランプリ)を獲得。大きなニュースとなった。さらに2013年の『Kick-Heart』で短編部門に、2014年「アドベンチャー・タイム『Food Chain』」ではテレビ部門にと、コンペティションのノミネートは実に4回目だ。アヌシーを通じてその実力をグローバルに高めてもいる。

 『バースデー・ワンダーランド』は、国内で4月26日全国公開。原恵一監督の4年ぶりの新作映画だ。青い鳥文庫から刊行される柏葉幸子の児童ファンタジー『地下室からのふしぎな旅』を原作に王道ファンタジーに挑んだ。アヌシーでは『カラフル』、『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』に続き3度目の長編コンペイン。前2作がいずれもアワードに輝いているだけに今回も期待がかかる。
 そして『あした世界が終わるとしても』は、若手の注目監督・櫻木優平の初の長編映画である。日本では今年1月25日に公開している。櫻木優平監督は、テレビアニメシリーズ『イングレス』の起用でも注目を浴びた。新世代の日本のアニメーション監督として話題を呼ぶに違いない。

 Contrechamp部門は「個性のある長編映画、観客に対して挑戦をしている作品」をテーマにしている。2019年に新設された。これまでのオフィシャルセレクションとは異なる新しい潮流を取り入れる部門としていただけに、どんな作品が選ばれるか注目されていた。
 ただセレクションの発表は、長編オフィシャルとの違いはやや判り難い。日本から選ばれた『海獣の子供』は、かねてより評価の高かった五十嵐大介のマンガを『ドラえもん のび太の恐竜2006』でも知られる渡辺歩が監督、STUDIO 4℃が制作する。音楽に久石譲、美術監督に木村真二とスタッフも豪華だ。
 
 今回の発表は4月15日(現地時間)にパリで開催された映画祭の記者会見に合せたものである。記者会見は2019年の映画祭の主要な企画を一挙に紹介し、世界にアピールするものだ。最後まで残されていた長編コンペティションのオフィシャルセレクションも大きな目玉だ。
 映画祭ではこれまでに、短編部門、学生部門、TV部門、受託作品部門のオフィシャルセレクションを発表している。日本からは短編部門に水江未来監督、Off-Limits部門に林俊作監督の各作品が選ばれている。学生部門はキヤマミズキさん、しばたたかひろ さん、Vaara Jariさん、吉成慧恵さんの4人の作品。さらにテレビ部門では、さすがしぎの監督『恐竜少女ガウ子』。今回の長編部門を合わせると日本関連で11作品がコンペインと賑やかになった。

 この他、上映イベントとして『HUMAN LOST 人間失格』、『ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間』、未公開の作品の制作過程を紹介するWorking in Progressに新海誠監督の『天気の子』、Netflixオリジナルアニメの『Eden』が紹介される。『Eden』は海外スタジオのアニメーション制作で、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』の入江泰浩監督、脚本にうえのきみこ、キャラクターデザインに川元利浩がスタッフ参加すると発表されたばかりだ。
 アヌシー映画祭は毎年ゲスト国を一ヵ国決めて特集を組むが、2019年には日本を選んでいる。映画祭の特集、コンペティションも合わせて、日本が大きく注目される年になりそうだ。

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