東宝 売上高は過去最高 今期は「天気の子」とグローバルプロジェクトが鍵

ファイナンス決算

 国内大手映画会社の東宝が成長を続けている。4月12日に発表された2019年2月期の決算発表によれば、連結売上高は2462億7400万円と1.5%増ながら前年を上回り過去最高となった。2015年以来4期連続の更新である。
 しかし営業利益は449億8200万円(5.5%減)、経常利益は465億6800万円(4.3%減)、当期純利益は301億9700万円(10.0%減)にとどまった。当期純利益の減少は、2018年3月期には東宝不動産吸収合併により発生した特別利益があったためである。

 映画事業の売上は1592億2900万円(前年と変化なし)、うち製作や配給を担当する映画営業が445億6500万円(2.3%増)、映画興行が839億9300万円(11.0%増)、映画事業が306億7000万円(19.4%減)である。
 映画営業は『名探偵コナン ゼロの執行人』、『ドラえもん のび太の宝島』、『劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命–』のヒットがあったが、全体では東宝幹事の作品が少なく利益に結びつかなかった。映画興行はTOHOシネマズ 日比谷などのオープンが貢献した。
 映像事業では前年は『シン・ゴジラ』、『君の名は。』のヒットのあったパッケージ販売の反動による減少が影響した。アニメ事業は映像事業に含まれており、売上高88億4700万円。映像事業全体の4割にあたる。アニメとの関係も深い部署で、期中はアニメ『GODZILLA』、『ペンギン・ハイウェイ』などを手がけている。

 演劇事業は170億500万円(6.5%増)で、営業利益は31億8700万円(3.3%減)。『Endless SHOCK』、『ジャニーズ King & Prince アイランド』などの演目のヒットが相次いだが、帝国劇場のリニューアル費用の計上などで利益は微減になった。
 不動産事業全体では、営業収入は655億6百万円(3.6%増)、営業利益は175億3500万円(1.0%増)。賃貸物件が引き続き高水準で稼働した。

 国内の映画会社としては、かなり高い売上水準に達している東宝だが、今期以降のさらなる成長があるかは気になるところだ。東宝自身は2020年度2月期の連結予想を売上高2418億円(1.8%減)、営業利益430億円(4.4%減)、当期純利益303億円(0.3%減)と前期並みとしている。
 しかし今期は上振れが期待される要因がいくつかある。4月12日に全国公開がスタートした『名探偵コナン 紺青の拳』が前作に続き、大ヒットのスタートを切っている。また7月には3年前、2016年に『君の名は。』が空前の大ヒットになった新海誠監督の新作『天気の子』が公開となる。こちらも再び大ヒットになれば、東宝は製作出資するだけにインパクトも大きい。
 さらにこれまでにない要因として、海外映画の製作出資がある。5月3日公開の『名探偵ピカチュウ』、5月31日公開の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のふたつのハリウッド映画は国内配給を東宝自身が手がけるなど、こちらもヒットすればインパクトは大きいだろう。日本の映画会社からグローバルの映画会社に変るのか。新たな成長チャンスが海外にあるのか。それを確認する点でも2020年2月期は東宝の歴史のなかでも重要な位置づけになりそうだ。

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