映画大手の東宝が、新年度で好調なスタートを切っている。2024年7月16日に発表された2025年2月期第1四半期(24年3月~5月)は、前年同期比で増収増益となった。連結売上高は859億7600万円(15.9%増)となったほか、営業利益は245億7600万円(34.1%増)、経常利益は233億5100万円(24.2%増)、当期純利益は161億4900万円(31.4%増)と利益の伸び率が大きい。
国内外で大ヒットになった『ゴジラ-1.0』のほか、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』、『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』、『変な家』などが好調の映画製作・配給が伸びた。また配信や商品化権などの配分金収入が大きかったアニメ製作事業も業績を牽引した。
映画事業全体では、売上高は600億200万円(17.8%増)、営業利益は200億9800万円(52.8%増)。劇場配給、劇場映画の国内配信、アニメーション事業などの伸びが大きかった。一方で、劇場運営のチケット販売が中心の映画興行事業は213億7200万円(7.9%減)、営業利益38億500万円(18.5%減)と減収減益だ。
演劇事業も減収減益だった。売上高は52億4600万円(2.6%減)、営業利益が10億900万円(16.7%減)である。舞台『千と千尋の神隠し』などが好調だったが、『SPY×FAMILY』や『キングダム』があった前年に及ばなかった。
近年、高い成長で注目されているアニメーション事業は、とりわけ好調だった。Toho animationのレーベルを中心に展開するアニメーション事業の売上高は四半期で146億2100万円、前年同期比で79.6%増と高い伸びになる。
売上げの主軸となる配信が50億4700万円(70.4%増)で、『僕のヒーローアカデミア』を中心に『ハイキュー!!』、『葬送のフリーレン』、『呪術廻戦』、『薬屋のひとりごと』などのヒット作が多い。また売上げでは劇場公開が続き41億2000万円で、こちらも122%と高い伸びだ。『劇場版 ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』のヒットが大きかった。
この他、配分金、商品物販、パッケージ、キャラクターラインセンスなどの全カテゴリーが前年同期を上回っている。バランスをとりながら、アニメーション事業全体が成長を続けていることが分かる。