東宝のアニメ事業 2024年2月期90%増で462億円

ファイナンス決算

 4月15日に発表された東宝の2024年2月期の通期決算は、引き続き同社の業績好調ぶりが際立った。連結売上高は2833億4700万円(16%増)、営業利益592億5100万円(32.0%増)、経常利益630億2400万円(31.8%増)、当期純利益452億8300万円(35.5%増)と、いずれも二桁の伸びとなっている。
 業績を支えるのは映画事業だ。売上高の1927億9400万円は22%の伸び、営業利益の447億900万円は53.8%増の伸び。『ゴジラ-1.0』、『劇場版ハイキュー ゴミ捨て場の決戦』、『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White』、『ゴールデンカムイ』などヒットが相次いだ。
 なかでも製作も自社となる『ゴジラ-1.0』の貢献は大きかったとみられる。海外でも初めて北米で行った自社配給が成功したことも増収増益につながった。

 近年、東宝が注力するアニメ事業は、映画事業とは別の詳細も公表している。通期売上高は前年比、462億6900万円で90.7%増とほぼ2倍と大きく伸びた。『「鬼滅の刃」 無限列車編』の記録的なヒットがあった22年2月期の414億4200万円を上回った。
 東宝はアニメ事業を経営の第4の柱に位置づけるが、こうした売上高は演劇事業の201億円、不動産事業の691億円と較べても遜色がない。

 今回は、アニメ事業における海外売上も公表されている。直近の2024年2月期の海外売上高は157億6300万円、売上の1/3以上が日本以外であることが分かる。前年の88億6400万円から急伸しているだけでなく、2年前の2022年2月期の58億6900万円からはおよそ3倍。急成長は海外事業の拡大に支えられている。
 分野別では配信が一番大きく、前年のおよそ2倍で184億3300万円。キャラクターライセンスが79億1600万円、商品物販が32億6700万円、パッケージが28億5200万円、劇場公開が91億7400万円、製作委員会などからの配分金は35億7000万円。今期初めてミュージカル『SPY×FAMILY』で進出した演劇公演 は、10億5400万円。
 期間中の主力タイトルは、『SPY×FAMILY』、『呪術廻戦』、『僕のヒーローアカデミア』、『ハイキュー!!』だった。パッケージでは『呪術廻戦』テレビシリーズ第2期が好調で、ゲーム事業でもTOHOGamesの新タイトル『呪術廻戦 ファントムパレード』が好調に推移しているとしている。

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