キッズ玩具アニメが配信のみ 新作「ベイブレードバースト」がYouTube完全移行

ベイブレードバースト ガチ

 この4月から今後のアニメ業界のテレビ放送と配信の行方も占う動きが、インターネット上で起きている。玩具との連動で長年人気を博してきた「ベイブレード」シリーズの新作アニメ『ベイブレードバースト ガチ』が、リリース媒体を地上波テレビからYouTubeに完全移行したのだ。
 『ベイブレードバースト ガチ』は、2019年4月5日(金)より、小学館「コロコロコミック」編集部が運営する動画チャンネル「コロコロチャンネル」にて配信を開始した。毎週1回最新話が更新されていく。このほかタカラトミーチャンネル、Official BEYBLADE Channelでも配信するが、TV放送は現在予定されていない。

 ネットでの視聴が手軽になり、アニメを動画配信で観る機会はますます増えている。そうしたなかでTV放送を全くしない動画配信のみで展開するアニメシリーズも現れるようになった。代表的なのは、2018年1月の『Devilman crybaby』をスタートに『アグレッシッブ烈子』やこの4月の話題作『ULTRAMAN』など次々にオリジナル作品を投入するNetflixの活躍だ。
 しかしネットオリジナルアニメは、Netflixの得意とするようなヤングアダルト向けだけが対象になるとは限らない。むしろ10代以下の若い世代こそ、テレビの視聴が少なく、動画配信に接する時間が長いからだ。子どもたちの間でのYouTuber人気の高さからも、そうした状況は窺われる。

 そうであればキッズ向けのアニメシリーズのファーストウィンドウをテレビではなく、動画配信にする決断は合理的だ。それでも1999年から続き、たびたびアニメ化されてきた大ヒット玩具「ベイブレード」に連なる「ベイブレードバースト」の最新作を動画配信のみにするのは大きな決断だ。
 シリーズはこれまで多数のアニメを製作してきたが、いずれも夕方帯や週末朝帯などで全国放送されてきた。「ベイブレードバースト」シリーズも2016年の第1期から今年3月に完結した第3期までテレビ東京系列で夕方に放送されている。
 一般に夕方帯の放送は高い視聴率や、大きなスポンサーが求められる。このため現在はTVアニメ放送のハードルは高い。それでも「ベイブレード」のような玩具販売と連動する作品は、子どもたちからの高い認知度が必要なため、TV放送が不可欠とされていた。ところが今回は、TV放送よりむしろ動画配信が子どもたちの認知度を高めるとの判断に動いたことになる。時代の大きな動きを感じさせる。

 キッズ向けのアニメの配信独占では、第1話の再生回数が520万回を超えるモンストアニメのYouTube独占配信の例はある。しかし『モンスターストライク』は、ネットに親和性が高いスマホアプリと結びついていた。今回は玩具アニメとさらに一歩先に進む。
 実際に動画配信のメインとなるYouTubeの「コロコロチャンネル」は子どもたちに人気が高い。人気雑誌「コロコロ」のブランドを掲げて、ゲームやホビー情報、さらに『デュエルマズターズ』、『ダンボール戦記』、『イナズマイレブン』、『スナックワールド』などのアニメ本編も視聴できる。
 チャンネル登録者数は34万人、月間再生数は1300万回、 総再生回数は3億5千万回を超える。ユーザーも多い巨大メディアとして、アニメ、玩具・コミックまで「ベイブレードバースト」の拡散に活用する。

 コロコロコミック編集部は、今回の試みについて次のようにコメントしている。「地上波でのアニメ放送からYouTubeでの放送に切り替えるメリット(コストの削減、 視聴時間・形態の自由度の高さ)と、 デメリット(作品のスケール感の損失、 流通へのインパクト)を検証しながら、 これからの時代が、 作品によって放送プラットフォームを使い分ける時代となれるよう、 勇気を持って進んでゆきたいと思います」。 
 玩具中心の男児向けのアニメシリーズが動画配信のみでどのような成果をだすのか、アニメ製作者、放送局、玩具会社などから今後も大きな注目を浴びそうだ。2019年のアニメ業界の大きなニュースと言っていいだろう。

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