ブルーレイも4K時代に突入 「ガンダム サンダーボルト」で4K ULTRA HD版発売

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映像の高品質化がますます加速するなか、アニメの映像ソフトのクオリティもいち早くこれに対応しはじめている。アニメ映像ソフトメーカーの大手バンダイビジュアルは、12月22日に、好評を博している劇場映画『機動戦士ガンダム サンダーボルト CECEMBER SKY』の4K ULTRA HD版を発売する。2016年12月22日のリリースを発表した。
アニメ作品ではまだ珍しい4Kの超高解像度の映像を収録、また明暗の滑らかさをだす輝度のレンジを広げたHDR(ハイダイナミックレンジ)を採用した。映像の実現にあたっては、松尾衡監督が自らが監修に携わる力のいれようだ。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は、マンガ誌「ビッグコミックスペリオール」(小学館)にて太田垣康男が連載する作品を漫画原作としてアニメ映像化した。これまでのガンダムシリーズで描かれなかった宇宙世紀の一年戦争の旧サイド4「ムーア」宙域を舞台に、連邦側のムーア同胞団とジオン公国のリビング・デッド師団がぶつかり合う。
ガンダムシリーズの中でもとりわけハードな表現と大人の味わいを持つ作品となった。そうした雰囲気は、アニメでは高谷浩利のキャラクターデザイン、仲盛文、中谷誠一、カトキハジメらのメカニックデザインの高密度な作画で実現した。綿密に描かれた映像が本作の持ち味となっている。そんな映像をより確かに実現するために、本作は当初よりアニメ業界でもまだまだ少ない4K画質で制作された。

4Kは高画質として知られていた従来のフルハイビジョン(Blu‐ray)の4倍の解像度を持ち、映像本来の色を再現する。HDRはより高精細で豊かな色彩を可能にする。さらに今回は、アニメ作品では本来の色調を実現するBT.2020にも対応した。新時代の映像を、それに相応しい作品で鑑賞する機会となる。
4K ULTRA HD版は、本編70分に映像特典3分も収録し、税抜8000円となる。映像特典は「ガンダムシリーズ 4KHDR トライアルフィム」トタイトルしており、こちらも見逃せないものとなっている。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』、『機動戦士ガンダム UC』、『新機動戦記ガンダム W Endless Waltz』、『機動戦士ガンダムSTARDUST MEMORY 0083』の作品の一部をテスト的に4KHDR 化したものだ。4K時代到来を予感させると同時に、バンダイビジュアルがこの分野に今後も積極的に取り組む姿勢が窺える。

ファンにとっては期待の4Kだが、アニメーション制作スタッフの負担は増しそうだ。作画でも美術でも、これまでは画面では潰れるため見逃されたような細かな部分の技術や表現も求められる。スタジオにとっては制作コストのアップにもつながる。
それだけに今後、どの程度4Kを採用するのかは、アニメ製作側にとっては悩みどころになるだろう。限りなく全てのタイトルが4Kに向かうのか、それとも4K対応するものとそうでなものを分けるのか。それは視聴者が4Kをどう受け取るかにもかかっている。

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