2018年映像ソフト市場1780億円 アニメは24%減、5年連続マイナス

ファイナンス決算

 (一社)日本映像ソフト協会は「JVA2018年年間統計調査」をまとめ、2019年3月13日に概要を発表した。調査は2018年のDVD、ブルーレイなど映像ソフトの市場動向をまとめたものだ。
 2018年の個人向け・レンタル向けを含む映像ソフトの総売上高は、1780億8400万円と前年比で5.1%の減少となった。2005年以来、14年連続の前年比マイナスを抜け出すことは出来なかった。最盛期の2004年3754億円からおよそ半分近くの水準まで落ち込んだ。
 個人向け販売は0.3%減と前年並みであったが、レンタル向け販売が18.2%減と市場の縮小要因となった。ネットで手軽に視聴できる動画配信にレンタル市場の一部を奪われているとみられる。個人向けの売上金額は1419億4000万円、レンタル向けは349億400万円。

 深夜アニメを中心とした「日本のアニメーション(一般向け)」は苦戦が鮮明だった。個人向け・レンタル向けを合わせて382億3200万円で、24.2%減と大きく売上げを落とした。前年の508億円から一気に500億円、400億円の大台を割った。
 こちらは5年連続の減少、最盛期の2005年と較べて半分以下となる。前年比での減少の大きさは、2017年には『君の名は。』の大ヒットがあった反動であるが、これを除外しても市場は縮小傾向である。
 また「日本のアニメーション(一般向け)」に「日本の子供向け(アニメーション)」を合算した日本アニメ全体では411億円、こちらも前年比で24%減となる。さらに海外アニメーションも合算すると467億4600万円(24%減)である。

 アニメーション以外では音楽(邦楽)が好調だった。「安室奈美恵/namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」のヒットがあり、前年比48.5%増。612億円で全体シェアの43.1%を占めた。また洋画は13.9%減、邦画は22.1%減。映画作品も不調だった。
 近年、映像配信プラットフォームの急成長が注目されているが、アニメ、洋画、邦画はレンタル向けを中心にこれらと競合し売上げを減らしているとみられる。
 アニメ業界では2000年代から10年代と、映像ソフトからの収入を大きなビジネスとしてきた。現在、新たなビジネスモデルの摸索が進んでいるが、前年比24%マイナスの大きな数字はこうした動きを加速させそうだ。

日本映像ソフト協会
http://jva-net.or.jp/

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