IGポート第3四半期に大幅増収増益 ハイキュー、進撃、怪獣8号など版権好調

ファイナンス決算

 プロダクション I.GやWIT STUDIOなど抱えるIGポートは、2025年4月11日に2025年5月期第3四半期の決算発表をした。第2四半期までの好調が続いており、売上高、営業利益、経常利益が前年同期比で、いずれも大幅増になっている。
 アニメーション制作の拡大と版権(ライセンス)事業の好調で、連結売上高は109億6900万円と32.9%増。営業利益は版権事業が大きく伸びて12億3800万円(47.4%増)、経常利益は12億4100万円(27.9%増)だ。しかし当期純利益7億1300万円と11.2%減だった。
 通期でも売上は過去最高の129億9900万円を見込む。営業利益17億3700万円(41.8%増)、経常利益17億1800万円(24.5%増)、当期純利益は11億1600万円(3.6%減)になる見込みだ。

 全体では好調に見えるIGポートだが、アニメーション制作に限れば苦戦が続いている。第3四半期までの売上高は52億9800万円と16.1%増だが、営業損失は8億1300万円と前年の4億1900万円より赤字幅が拡大している。売上の増加が利益に結びついていない。
 期間中は『ムーンライズ』、 『真・侍伝YAIBA』、『怪獣8号』、『SPY ×FAMILY』、『My Melody & Kuromi』、『THE ONE PIECE』、『劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人』などを手がけている。しかし一部の作品で制作期間の長期化のほか人件費、CG制作費、外注費などの高騰が影響したとして、受注損失引当金を計上する。

 出版事業も売上高が6.3%減の16億9700万円、営業利益が3億5800万円(27.3%減)となるなかで、これらをカバーしているのが版権事業だ。第3四半期までの売上は34億7100万円(109.2%増)、営業利益は17億500万円(93.2%増)と倍増した。
 当初見通しより拡大したのは『ハイキュー!!』劇場版の興行収入や国内商品化などが大きく上振れたからだ。また『進撃の巨人』も、海外番組販売や国内配信収入が上振れしている。期間中の版権事業の主要タイトルは、『ハイキュー!!』、『怪獣8号』、『進撃の巨人』、『SPY × FAMILY』だ。

 今回の決算資料では、過去になかった新たなデータも公表されている。作品ごとの累計版権集収入である。
これによると2016年6月から2025年2月までの8年8ヶ月の累計で、一番版権収入が多いのは「進撃の巨人」シリーズで21億8800万円だ。本作ではIGポートのグループ会社ウィットスタジオがアニメーション制作をしたのは、テレビシリーズの第1シーズンから第3シーズンまでである。第4シーズン、ファイナルシーズンはグループ外のMAPPAの制作になるが、IGポートは第4シーズン以降も製作委員会に出資を継続したことで、ライセンス売上が拡大している。。
 その後は「ハイキュー」シリーズの18億5500万円、「攻殻機動隊」シリーズの13億6700万円が続く、1位から5位まで大型ヒットシリーズが多くを占める中で、4位に『魔法使いの嫁』がランキングされているのが目を惹く。作品自体はミドルヒットだったが、製作出資のほとんどをIGポートのグループで行ったことが大きかった。 第5位は「SPY × FAMILY」シリーズだった。

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