エンタテイメント事業大手のKADOKAWAが、2020年10月1日付で大胆な組織再編を実施する。KADOKAWAは出版や映画、アニメ、コミック、ゲーム、音楽、教育など幅広い事業を持つ日本を代表するエンタテイメント会社である。現在は6本部1グループで構成し、本部の下にさらに部署を設けている。
今回の再編ではこの本部制を廃止して、グループ全体を新たに13領域に再編する。領域は「出版」「文芸・映像」「アニメ」「ゲーム」「デジタル」「レクリエーション」といった事業ジャンルに分けたものが6つ、「ライツ」「営業宣伝」「製造流通」「人事総務」「経営企画」「内部統制」と機能で分けたものが6つ、さらに「海外」となっている。
出版会社の角川から出発した同社は、映画や他社出版、ゲームなど多くの会社の買収を繰り返し、さらに2014年のドワンゴとの経営統合とM&Aを中心に事業拡大をしてきた。多彩な事業がある一方で会社の一体感は弱く、複数部署による重複事業も多いとされている。
今回の組織再編ではこれらをバラバラにしたうえで、文字どおりひとつの会社に組み直すものと見える。組織改編の多いKADOKAWAではあるが、一際大きなものとなる。また「ライツ」「営業宣伝」「製造流通」「人事総務」「海外」がそれぞれ全社的な独立領域になることで、バックオフィス部門の効率化も進むだろう。今後の会社の動きからも左右することになりそうだ。
組織変更に伴って、役員職務の掌握も大きく変更する。副社長や専務、常務といった役付き、さらに本部長、副本部長といった職務が廃止になる。代わって領域ごとの統括責任者としてチーフオフィサー(Chief Officer)を配置する。
役員構成をフラット化することで、領域での決裁権限の拡大と体系を明確化する。効率的な意思決定によるスピード感ある経営が可能になるとする。
このうち現代表取締役副社長で執行役員・グループ IP事業統括の井上伸一郎氏は代表取締役のまま執行役員として、チーフ・アニメ・オフィサー(Chief Anime Officer)に就任する。ドワンゴ代表取締役社長でもある夏野剛氏は、取締役執行役員チーフ・デジタル・オフィサー(Chief Digital Officer)となる。