国内大手エンタテイメントグループのカドカワが、2019年2月13日に第3四半期決算を明らかにした。また約38億円の特別損失計上を発表、業績予想を大幅下方修正した。さらにグループの大幅な再編と人事異動も明らかにするなど、サプライズな発表が相次いだ。
組織再編では、持株会社カドカワの直轄子会社であったドワンゴ、Gzブレイン、大百科ニュース社をKADOKAWAの子会社に異動する。
これにより主要な事業の全てがKADOKAWAの傘下に移る。ドワンゴはカドカワの孫会社になり、KADOKAWAが中間持株会社的な役割を持つことになる。
カドカワは2014年4月に出版・映像のKADOKAWAとネット事業のドワンゴとの経営統合で誕生した。長らく持株会社の下に両社が並んでいたが、今回はドワンゴの事業をKADOKAWAに集約することでこのバランスが大きく変わる。事実上KADOKAWAがドワンゴを吸収したかたちだ。
カドカワは今回の再編について、ドワンゴが事業主体となるWeb サービス事業の低迷を理由に挙げている。グループの融合を図るため経営体制を刷新し、ドワンゴの新たな創業にするという。
現在の業績を踏まえてドワンゴの固定資産を減損処理し37億9900万円の特別損失を計上したほか、カドカワはドワンゴの株式評価損も149億500万円計上した。思い切った決算で、業績の立て直しを図る。
経営陣では2月13日付でカドカワの代表取締役社長であった川上量生氏が取締役に異動、代表取締役専務の松原眞樹氏が新たな代表取締役社長に就任した。また荒木隆司氏、横澤大輔氏、栗田穣崇氏が取締役を辞任する。
荒木隆司氏はドワンゴの代表取締役社長も退任する。取締役の夏野剛氏がドワンゴの代表取締役社長を引き継ぐ。川上量生氏はドワンゴの取締役も退任し、同社顧問に就任した。
2019年3月期第3四半期までのカドカワの連結売上高は1521億200万円、前年同期比0.1%増とほぼ前年並みだった。営業利益は31億8300万円(8.2%増)、経常利益は43億7100万円(26.5%増)。ただし特別損失の計上から当期純損失が21億6900万円と拡大した。
これに合わせて通期連結業績予想を大幅下方修正している。売上高は2310億円から2070億円に、営業利益は80億円から19億円に、経常利益は91億円から29億円に引き下げる。また当期純損失43億円を計上するとしている。