アニプレックス、豪州アニメ配給大手Madman Animeを23億円で買収か
- 2019/2/6
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アニプレックスの海外展開戦略が拡大している。オーストラリアの経済専門紙オーストラリア・ファイナンシャル・レビューは2019年2月6日、アニプレックスが同国の独立系映画・番組会社マッドマン・エンタテイメント(Madman Entertainment)からアニメ事業部門マッドマン・アニメ(Madman Anime)を買収したと伝えた。
マッドマン・アニメはオーストラリア最大手の日本アニメの流通・配給事業部門、報道によれば譲渡価格は3500万豪ドル、日本円で23億円を超える。この売却によりマッドマン・エンタテイメントと株主である投資ファンドのファイブVキャピタル(FIVE V Capital)は充分な利益を得たとしている。株式の売買について、アニプレックス及びソニー・ミュージックエンタテインメント、マッドマン及びファイブVキャピタルからの発表はない。
アニプレックスは、ソニー・ミュージックエンタテインメントグループのアニメ事業会社だ。1995年に設立されたが、2003年の『鋼の錬金術師』をきっかけに急成長してきた。現在は「Fate」シリーズ、物語シリーズなどヒット作を数多く抱える。国内有数のアニメ製作会社である。
近年は事業の多角化を進める。アニメ制作のCloverWorks、映像プロデュースのリアルト・エンタテインメントなどを設立。M&Aにも積極的で、フィギュア事業のリボルブ、デジタルアニメーション技術のLive2Dと資本業務提携を結ぶ。
M&Aを利用した事業戦略は、海外でも展開している。2015年にはフランスの日本アニメ流通配信企業ワカニム(Wakanim)に出資、ドイツでは現地企業との合弁会社ペパーミントアニメ(peppermint anime)を設立している。
米国では2005年から現地法人アニプレックス・オブ・アメリカ(Aniplex of America)を通じて事業展開している。マッドマン・アニメが子会社となれば、北米、ヨーロッパに続きオセアニアでも日本アニメ流通の強固な基盤を築くことになる。
マッドマンは1996年に日本アニメに特化した映像パッケージ会社としてスタートした。その後、取り扱うジャンルを国内映画・番組、スポーツ、子ども作品などに増やしていった。業務も映画配給や配信、ライセンス管理などに拡大している。
それでも日本アニメはマッドマンの中核事業で、オーストラリアにおけるシェアは90%を超えるとされるほどの寡占体制となっている。近年は日本アニメ専門の映像プラットフォームAnimeLabを運営、2016年にはアニメイベントMadman Anime Festivalもスタートするなど、その存在感をますます高めている。日本企業による買収となれば、現地にも驚きが広がりそうだ。
マッドマン・エンタテイメント(Madman Entertainment)
https://www.madman.com.au/