ぴえろと中国アリババ系優酷が国際共同製作 10月から「侍霊演武:将星乱」

『侍霊演武(ソウルバスター):将星乱』

中国の人気マンガ『侍霊演武 (ソウルバスター)』が日中共同製作でアニメ化され、2016年10月より放送・配信をスタートする。『侍霊演武(ソウルバスター):将星乱』となって、日本ではテレビ放送、中国では映像配信プラットフォームの優酷(Youku)で配信される。
製作には日本からは『NARUTO』や『おそ松さん』のアニメーション制作でもお馴染みのスタジオぴえろ、そして中国からは優酷が参加する。優酷は中国最大の映像配信プラットフォームで、2012年にライバルの土豆と合併、優酷土豆として動画配信を運営している。

大掛かりな取り組みだけに、ビジネスにも力が入る。アニメーション制作はstudioぴえろ、総監督には『名探偵コナン 純黒の悪夢』、『シドニアの騎士』の静野孔文を迎える。さらに日本での放送はTOKYO MXにて10月4日(火)18時半からと子どもたちにも観やすい時間帯だ。MBSでは11月5日(土)27時57分から。またBS放送でも10月4日26時からBS11となる。大人の世代に向けてもアピールする。いずれも全12話1クールの放送を予定する。
キャストには主人公・孫宸に水島大宙を起用、ヒロイン・周瑜役に田辺留依、それに凌雲役には劉セイラが決まっている。劉は日本で活躍する中国出身の日中バイリンガル声優で、日中共同製作ならではの国境を越えた活躍をする。

『侍霊演武』は、中国のマンガ誌「尚漫」に連載。「尚漫」は中国政府系の人民郵電が月刊で発売する。技術系の出版だけでなく児童向けの書籍も手がける大手出版社だ。
原作者の白猫は「三国志」をモチーフに、舞台を現代に置いた新たなドラマ『侍霊演武』を作り出している。歴史の大嫌いな男子高校生の孫宸が夢の中で三国志の歴史の封印を解いたことから、武将バトルに巻き込まれる。

2014年頃から中国と日本の間のアニメビジネスがにわかに活発になっている。当初は中国向けの配信権の販売、そしてゲーム化権の販売であった。しかし、2016年に入ってからは共同製作や、中国出資での日本でのアニメーション制作、さらに中国アニメの日本での放送などより高度化した仕組みが増えている。本作もそうしたひとつだ。
『侍霊演武:将星乱』で注目されるのは、中国側の優酷だろう。優酷土豆は、2016年4月に中国の巨大IT企業アリババの子会社となったばかりだ。アリババは、百度、テンセントと並び「BAT」と並ぶ中国の3大IT企業である。
百度の子会社の映像プラットフォーム愛奇芸(アイチーイー)は、2016年春にテレビ東京と共同製作した『聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ』を日本で放送、中国で配信したばかりだ。またテンセントは自社作品『一人之下 the outcast』を7月から日本で放送した。出資会社を通じて、日本でのアニメ製作に乗り出している。ここに優酷が加わることで、中国の3大IT企業全てが日本アニメの製作進出に乗り出したことになる。
これらの企業のビジネスはまだ始まったばかりで、さらに国を跨ぐだけにその成否は現在は見えにくい。今後巨大ビジネスに成長するのか、ライバルを意識した加熱したビジネスなのか、いずれにしろ日本に大きな影響を与えることは間違いない。

『侍霊演武(ソウルバスター):将星乱』
http://soulbuster.jp/

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