米国の独立系の映画製作会社グローバル・ロード(Global Road)の事業運営が揺れている。2018年9月4日以降、米各メディアは、グローバル・ロードの米国製作事業会社が連邦破産法第11条を提出したこと伝えている。
Global Roadは過去数週間、経営と資金繰りの悪化が報道されてきたが、第11条のもと債務整理に着手する。経営再建を目指すとみられるが、実際に再出発まで辿りつけるかは不透明だ。
グローバル・ロードは、2017年8月に中国の実業家ドナルド・タン氏が経営するIMグローバルが米国の中堅映画製作会社オープン・ロード・フィルム(Open Road Films)を買収することで誕生した。オープン・ロードは、2011年に米国の大手興行チェーンAMCとリーガルによって立ち上げられた歴史を持っている。
タン氏の経営のもとで、グローバル・ロードは、新進の映画製作会社として積極的なビジネス展開を掲げた。今年の2月のベルリン国際映画祭では3年間で10億ドルの投資を発表。2020年までに15本以上の映画を手がけるとしていた。
しかし実際には、2017年10月に米国公開した法廷映画『マーシャル 法廷を変えた男』の興行的な失敗で、事業計画に狂いが生じていたようだ。十分な資金繰りが維持で出来なくなり、経営破綻に至った。
グローバル・ロードの経営破綻は、意外なことに日本のアニメ業界にも影響を与える。グローバル・ロードは、2018年5月に国内アニメ製作会社のバンダイナムコピクチャーズが発表していた、『TIGER & BUNNY』のハリウッド実写映画化企画の米国側のパートナーの一社であったからだ。
バンダイナムコピクチャーズは、大物プロデューサーのロン・ハワード氏のイマジン・エンタテインメント(Imagine Entertainment)、グローバル・ロード、アキヴァ・ゴールズマン氏のウィード・ロード・エンタテインメント(Weed Road Pictures)と共に、グローバル市場を狙った『TIGER & BUNNY』の実写化企画を進めていた。
今後グローバル・ロードは、新規プロジェクトに向けて動きがとりづらくなくなるとみられる。『TIGER & BUNNY』実写化は初期企画段階ではあったが、それでも企画実現は当初の見込みよりもく遠のきそうだ。
『TIGER & BUNNY』の実写化企画は、2015年10月にバンダイナムコピクチャーズがニューヨーク・コミコンの会場で発表していた。当初はバンダイナムコピクチャーズと日本のAll Nippon Entertainment Works(ANEW)、米国のイマジンの枠組みであった。
5月の発表ではANEWが退き、新たにグローバル・ロードとウィードが加わり、再出発としていた。今回の出来事は米国の映画製作ビジネスの難しさを示すことになった。