2019年1月23日、73回目を迎えた毎日映画コンクールの受賞作、受賞者が発表された。このうち一年間で最も優れた作品として『若おかみは小学生!』がアニメーション映画賞を、斬新な作品として『リズと青い鳥』が大藤信郎賞に選ばれた。
受賞決定にあたっては、事前に2部門合わせて長編5本、短編13本の合計18作品がノミネートに挙げられていた。『若おかみは小学生!』と『リズと青い鳥』を押さえての受賞となる。
2月14日に川崎市のカルッツかわさきにて「第73回毎日映画コンクール表彰式」が開催される。各賞のスタッフや受賞者もこの場に姿みせる。
毎日映画コンクールは1946年にスタートした日本でも有数の歴史を誇る映画賞である。1962年から設けられた大藤信郎賞も、国内で最も古いアニメーション映画賞として知られている。
ふたつの賞は、アニメーション映画賞が作品の総合的な評価、大藤信郎賞は斬新な表現に着目すると棲み分けがされてきた。これまでアニメーション映画賞は長編、大藤信郎賞は短編が多く受賞してきた。
しかし今年は両賞とも長編となった。大藤信郎賞の長編受賞は3年連続になる。近年、長編映画で作家性を打ち出す傾向が強くなっていることも背景にありそうだ。また昨年は逆にアニメーション映画賞に短編映画の『こんぷれっくす×コンプレックス』が選ばれている。長編/短編、大手スタジオ/インディーズといった境目が薄くなってきた現在のアニメーションの潮流を反映している。
『若おかみは小学生!』は、令丈ヒロ子の児童文学を原作にマッドハウスのアニメーション制作で映画化された。『茄子 アンダルシアの夏』監督やスタジオジブリの作画で活躍した高坂希太郎が監督になり、真っ直ぐなストーリー、丁寧な映像づくりが高い評価を受けていた。必ずしも大ヒットでないが、今回は大きな賞で注目を浴びそうだ。
そして『リズと青い鳥』は、京都アニメーションの制作。これまでテレビアニメや映画で展開してきた『響け!ユーフォニアム』のスピンオフではあるが、シリーズとの関連性はほとんど強調されていない。監督は『たまこラブストーリー』、『映画 聲の形』のかたちで近年評価の高まっている山田尚子。今回の作品と受賞でさらにキャリアをひとつを積み上げたかたちだ。
また『若おかみは小学生!』と『リズと青い鳥』の脚本をともに手がけた吉田玲子も注目される。吉田は昨年大藤信郎賞を受賞した『夜明け告げるルーのうた』の脚本も担当している。異なったタイプの作品で、確実にキャリア積むその才能も注目だ。