2019年1月24日から27日まで、フランスで開催される第46回アングレーム国際漫画祭で、今年も日本が活躍しそうだ。毎年恒例のアワードの候補作品となるオフィシャルセレクションが発表され、日本マンガが大量にノミネートされた。
特に注目されるのが最優秀作品などを選ぶオフィシャルセレクションが2018年の3作品の倍以上となる7作品が挙がっていることだ。若者向けオフィシャルセレクションと遺産賞オフィシャルセレクションが各1作品。合計9作品にもなる。
毎年、日本とは異なる評価軸で選ばれ、とりわけ芸術性、文学性に重きを置くことからあっと驚くような作品タイトルが挙がるのもアングレームならだ。2019年は歴史に残すべき巨匠とその作品を対象とする遺産賞候補の佐々木マキが、それにあたるだろう。1960年代に雑誌「ガロ」などで活躍した佐々木マキのアンソロジーを候補にした。
オフィシャルセレクションも同様に、日本では通好みな作品が多い。『BLUE GIANT』(石塚真一)、『深夜食堂』(安倍夜郎)、『狂気の山脈にて ラヴクラフト傑作集』(田辺剛)、『サルチネス』(古谷実)、『プリニウス』(とり・みき/ヤマザキマリ)、『Sunny Sunny Ann!』(山本美希)、『ワンダーランド』(石川優吾)である。このうち『深夜食堂』は2年連続の候補になった。
若者向けオフィシャルセレクションには、『とんがり帽子のアトリエ』(白浜鴎)。日本では青年誌「月刊モーニングtwo」連載だから、これもフランスならの選択だろう。
候補になった作品はフェスティバル期間中に、オフィシャルセレクションからは最優秀作品賞、審査員特別賞、シリーズ賞、リベレーション賞の4つが選ばれる。さらに若者部門、遺産賞などの各部門賞も選定される。
日本からは2017年に望月ミネタロウ『ちいさこべえ』のシリーズ賞、上村一夫『離婚倶楽部』の遺産賞、2018年は楳図かずお『わたしは真悟』の遺産賞が出ている。2019年も期待したいところだ。
またフェスティバル期間中は、日本マンガにフォーカスする企画は少なくない。目玉企画になっている「弐瓶勉展:未来測量士 (Tsutomu Nihei:l’arpenteur des futurs)」もそのひとつだ。『シドニアの騎士』『BLAME!』などで知られるSFマンガ家の創作世界を一望する。さらに『鉄コン筋クリート』『ピンポン』などの松本大洋氏の展覧会も開催する。
マンガ家が自らの創作について語る「マスタークラス」にも弐瓶勉氏と松本大洋氏が日本から参加。さらに佐藤健太郎氏のトークも予定されるなど豪華だ。
これらは「MANGA CITY」と名付けられた2500㎡のパビリオンを会場にする。展覧会や講演だけでなく、出版社のブースやミーティングスペースも設けられる。日本マンガはアングレームの風景のひとつとして楽しまれそうだ。
第46回アングレーム国際漫画祭
http://www.bdangouleme.com/